営業資料の作り方完全ガイド|戦略的構成からデザイン、AI活用まで徹底解説
2025年11月9日更新

「時間をかけて営業資料を作ったのに、商談での顧客の反応が薄い」
「資料作成が自己流になっており、本当にこれで成果が出るのか自信がない」
「チーム内で資料の質がバラバラで、営業成績が安定しない」
営業担当者であれば、こうした悩みに一度は直面したことがあるのではないでしょうか。
多くの営業資料が成果に結びつかない原因は、デザインのセンスやPowerPointのテクニックにあるとは限りません。根本的な問題は、顧客の心を動かすための「戦略」と「思考法」が欠けている点です。
この記事では、単なる「作り方」の解説にとどまらず、顧客の購買プロセスを逆算し、「なぜ、その情報がその順番で必要なのか」という顧客心理に基づいた戦略的構成術を徹底的に解き明かします。
王道の基本構成から、比較検討で競合に勝つための深掘りポイント、さらにはAIやパーソナライズド動画といった次世代のトレンドまで。本記事を読めば、あなたの営業資料を「説明のための資料」から、「受注を生み出す最強の営業パートナー」へと変革させる具体的な道筋がすべてわかります。
なぜその「営業資料」は受注に繋がらないのか?
答えは、顧客一人ひとりの課題に最適化されていないからです。「LOOV」は、AIが相手の役職や興味に合わせて説明内容を分岐させることができます。そのため顧客は自分が求めている情報を取得することができ、事前に理解しておきたい内容を把握することができます。まずはサービス資料をご確認ください。
営業資料の重要度が高くなっている3つの理由
セールストークを中心とする古いスタイルの商談では、営業資料は説明の補完的な存在でした。しかし今、その役割は根本から変わり、営業活動の成否を分ける「生命線」ともいえる重要性を持っています。その背景にある3つの変化を解説します。
1. オンライン営業の増加
近年のリモートワークの普及は、営業スタイルを対面からオンライン(非対面)へと大きくシフトさせました。対面営業であれば、熱意や人柄、ホワイトボードを使った柔軟な説明でカバーできた部分も、オンライン商談では画面に映し出される「資料」がコミュニケーションのほぼ全てを担います。資料が分かりにくければ、顧客の関心はすぐに途切れ、商談の質は著しく低下します。画面越しでも顧客の心を掴み、理解を促進できる資料の重要性は、かつてないほど高まっています。
2. 営業属人化の回避
「あのエース営業マンは売れるが、新人はなかなか成果が出ない」というのは、多くの組織が抱える悩みです。成果の差は、個人の才能や経験(暗黙知)に依存していることが多いためです。
質の高い営業資料は、この「暗黙知」を「形式知」へと転換する最強のツールです。「売れる営業」が持つ顧客への切り口、刺さるキーワード、効果的なデータの見せ方を資料に反映することで、チーム全体の営業品質を底上げできます。営業資料は、営業部門の「知」を結集・共有し、属人化を解消するための「基盤」なのです。
3. 購買プロセスの変化
最も大きな変化は、顧客の行動様式です。顧客は営業担当者に会う前に、Webサイトや資料ダウンロードによって自ら情報収集し、ある程度の比較検討を終えているのです。株式会社wibの調査によれば、BtoBの購買担当者の84%が、営業担当者と接触する前に購入決定に関わる情報を入手したと回答しています。
この「顧客の情報収集が自己完結型への変化」に対応するため、営業担当者の代わりとなって顧客に情報を提供する営業資料の重要性が飛躍的に高まっています。
「営業が接触する前の情報収集フェーズ」において、顧客が手にする営業資料こそが、「最初の営業担当者」となります。この資料の品質が低ければ、あなたは顧客と出会うことも難しくなるのです。また、購買プロセスの複雑化、長期化、多層化の影響も無視できません。あなたが商談した相手(担当者)が、そのまま決裁者であるとは限りません。多くの場合、その担当者が受け取った資料を上司や関連部門に共有し、検討が行われます。
その時、あなたの代わりに営業をしてくれるのが、「営業資料」です。資料が担当者向けの説明で終わっていて、決裁者が知りたい「費用対効果」や「導入の決め手」が書かれていなければ、その資料は稟議の壁を越えられず、案件は停滞します。あなたの手を離れた資料が回覧され、関係者の疑問に答え、導入を後押ししてくれる。そんな「一人歩きする営業パーソン」として機能する資料が今、求められています。
営業資料が読まれずに終わる3つの失敗パターン
多くの企業がリソースを割いて営業資料を作成しているにもかかわらず、その大半が「読まれない」あるいは「響かない」ままになっています。なぜでしょうか。そこには、作り手が陥りがちな3つの共通した「落とし穴」が存在します。
1. 顧客視点の欠如
最も多い失敗が、顧客の「知りたいこと」ではなく、作り手の「言いたいこと」だけで終始しているケースです。「我社の歴史は〜」「この技術の特許は〜」「機能一覧がこちらです〜」といった情報は、顧客の課題を解決するものでしょうか。顧客が知りたいのは「私の悩みを、どう解決してくれるのか」という一点だけです。
単なる機能の紹介や成功事例の紹介だけでは、顧客は「それはウチとは違う」と感じてしまいます。「あなたもこんな課題(痛み)を抱えていませんか?」という共感から始まり、「この解決策で、こんな未来が手に入ります」という期待感を醸成する。そうした一貫したストーリーがなければ、顧客の心は動きません。
2. 資料構成の不備
たとえ必要な情報(機能、価格、事例など)がすべて盛り込まれていたとしても、それらが論理的な順序で並んでいなければ、読み手は混乱します。「この説明の後は、○○について確認したくなる」ところが、脈絡のない情報が続けば、疑問や懸念が残ります。
このような失敗も先述した「顧客視点の欠如」と共通しており、伝わりやすい順序ではなく、営業担当者が伝えたい順序で資料を構成していることが原因です。顧客の思考の流れに沿った「構成」がなければ、情報は単なるノイズとなり、理解を妨げます。最もシンプルな構成は「課題 → 解決策 → 事例」が基本構成であり、顧客に伝わりやすい順序です。
3. 読み手の負荷
顧客は多忙です。文字でぎっしり埋め尽くされたスライドや、統一感のないデザイン、意味のない装飾は、それだけで読み手の「認知負荷」を高めます。「読むのが面倒だ」と思われた瞬間に、あなたの資料は閉じられてしまいます。優れたデザインとは、装飾することではなく、読み手の負荷を極限まで下げる「設計」のことです。
色数が多い、強調箇所(太字や記号による強調)が多い、情報量やページ数が多いなどは、典型的に読み手にストレスを与えます。図解や箇条書き、表形式などで、情報を整理することで、読み手の負荷を軽減するだけでなく、読み手の理解を支援できます。
検討の土台に乗るための準備
多くの営業担当者が犯しがちなミスは、顧客の課題を聞いてすぐにPowerPointを開き、スライドを作り始めてしまうことです。しかし、成果の出る資料は「何を書くか」で決まるのではなく、「書き始める前に、何を設計したか」で決まります。
顧客の購買プロセスを逆算し、彼らが比較検討する際の「土台」にしっかりと乗るための情報設計こそが、資料作成の9割を占めるといっても過言ではありません。ここでは、最低限定義すべき3つの設計要素「誰に」「何を」「どう使う」を解説します。
誰に:顧客を理解する
最初のステップは、「誰に」伝えるかを明確にすることです。重要なのは、その資料を読む人が「どのような課題を持ち」「何を不安に思い」「最終的に何を解決したいのか」という具体的なニーズを言語化することです。
例えば、同じSaaSツールを提案するにも、提案相手によって響くポイントは、まったく異なります。
提案相手が「経営者・決裁者」の場合は、コスト削減、売上向上、投資対効果(ROI)、競合優位性などの「課題・ニーズ」を想定して、「全社コストを30%削減」「導入3ヶ月で売上1.5倍」などの具体的で、相手に響く説明をする必要があります。
また、相手が「現場の担当者」の場合は、業務の効率化、作業ミスの削減、使いやすさ、サポート体制などの「課題・ニーズ」に対して、「日々の入力作業が半分に」「誰でも直感的に使えるデザイン」などの訴求をするなど、個別の設計が重要です。
この「誰に」の設定がブレていると、資料全体が誰にも響かない総花的な内容になってしまいます。
何を:資料の目的を定義する
次に、「何を」達成するための資料なのか、その目的(ゴール)を明確にします。資料作成そのものが目的になってはいけません。営業資料を読んだ相手に、「どのような状態になってほしいのか」を具体的に定義します。
たとえば、顧客の課題を整理し、「このサービスが必要だ」と強く認識してもらうことを目的に設定します。あるいは、担当者が上司に「導入したい」と説明するための稟議用データを提供することを目的とします。また、競合他社との違いを明確に理解してもらい、自社を第一候補にしてもらう。営業の次のステップである「個別デモ」や「トライアル」に申し込んでもらうなど、個別に目的の定義が必要です。
目的が「次の商談のアポを取ること」であれば、詳細すぎる機能説明よりも「導入メリット」のサマリーが重要かもしれません。目的が明確であれば、資料に入れるべき情報と思い切って捨てるべき情報が自ずと見えてきます。
どう使う:利用シーンを想定する
最後に、「どう使う」かという利用シーンを想定します。同じ内容でも、使われる場面によって最適な資料の形式は異なります。
商談でプレゼンに使用する資料であれば、営業担当者のトークで補足することが前提となるので、スライドは文字量を極力減らし、グラフや図解、キーワード中心で構成します。「1スライド=1メッセージ」を徹底し、視覚的な分かりやすさを優先します。
また、メール送付やWebからダウンロードする資料の場合は、資料だけが「一人歩き」することが前提となり、営業担当者による補足説明がないため、スライド内やノート欄にある程度の説明文が必要になります。読み手が自分のペースで読み進められるよう、論理的な流れと分かりやすい言葉遣いが求められます。
このような利用シーン別の設計を怠り、いきなりスライドや資料を作り始めると、必ず手戻りが発生します。まずはこの「情報設計」に時間をかけることが、最終的に最も効率的に成果を出すための近道です。
顧客の態度変容を誘導する資料構成
情報設計が完了したら、いよいよ資料の「構成」を組み立てます。成果の出ない資料に共通するのは、情報が「羅列」されているだけ、という点です。機能一覧、価格表、会社概要…それらがバラバラに存在しても、顧客の心は動きません。
優れた営業資料は、まるでレストランのコース料理のように、顧客の心理状態に合わせて最適な順番で情報が提供され、期待感を高め、最終的な満足(=行動変容)へと導く「ストーリー」で設計されています。ここでは、最も王道で強力な7つのステップからなるストーリー構成術を解説します。
1. 表紙・サービス概要
表紙
「誰に向けた」「何の資料か」が一瞬で伝わるようにします。「〇〇株式会社様向けご提案書」といった具体的な宛先と、「〜という課題を解決するサービスのご紹介」といった価値(ベネフィット)を明確に記載します。
サービス概要
ここで伝えるべきは、複雑な機能一覧ではありません。自社が「何者」で、「顧客のどのような課題を解決できるのか」というサービスの核となる価値を、簡潔に伝えます。
2. 課題提起
顧客が最も関心があるのは、あなたのサービスではなく「自分自身の課題」です。ここでは、市場の一般的な動向やデータを示しつつ、顧客が日頃感じているであろう「痛み」や「悩み」を言語化します。
「こんなことにお困りではありませんか?」と問いかけ、顧客が「そうそう、それが悩みだったんだ」と強く共感し、資料の内容を「自分ごと化」してもらうための最重要セクションです。
3. 解決策の提示とサービス詳細
顧客と課題認識を共有できたら、次に「その課題を、私たちはこう解決します」という具体的な解決策(ソリューション)を提示します。
ここで初めて、自社サービスの機能や特徴が登場します。ただし、機能を羅列するのではなく、課題提起のステップで確認した「課題Aは、この機能Xによって解決できます」というように、課題と解決策を必ずセットで提示することが鉄則です。
4. 導入後の効果
課題が解決されたら、顧客にはどのような「理想の未来」が待っているのかを具体的に示します。「業務効率が向上します」といった抽象的な言葉ではなく、「これまで3時間かかっていた月次レポート作成が、10分で完了します」のように、導入前と導入後の変化を鮮明にイメージさせることが重要です。
5. 導入事例
顧客は「本当にそんな効果が出るのか?」と疑っています。その疑念を払拭するのが、客観的な証拠となる「導入事例(第三者の声)」です。
可能であれば、顧客と「業種」や「企業規模」が似ている他社の成功事例を紹介しましょう。「自分と似た状況の会社が成功しているなら、ウチでもできるかもしれない」という「社会的証明」が、顧客の背中を強く押します。
6. 料金プラン
価格の提示を恐れてはいけません。顧客が最も知りたい情報の一つです。重要なのは、価格だけを提示するのではなく、「なぜその価格なのか」という根拠と、それを上回る「費用対効果(ROI)」をセットで示すことです。
「月額〇〇円」というコストに対し、「月間△△円のコスト削減」や「□□時間の工数削減」といったリターンを明確にすることで、単なる「出費」から「未来への投資」へと認識を変えられます。
7. FAQ・会社概要・CTA
FAQ
顧客が導入をためらう最後の懸念(「導入サポートは?」「セキュリティは大丈夫?」など)を先回りして解消します。
会社概要
信頼できる取引先であることを示すために、最低限の会社情報や取引実績を記載します。
CTA (Call to Action)
最も重要な締めくくりです。資料を読み終えた顧客に「次に何をしてほしいのか」を明確に伝えます。「詳細はお問い合わせください」といった曖昧なものではなく、「まずは30分間の無料デモにお申し込みください」「個別お見積もりはこちらから」といった、具体的でハードルの低いアクションを提示します。
比較検討の勝敗を分ける4つの重要な要素
前章で解説した7つの資料構成は、資料全体の論理的な流れを担保するものです。しかし、顧客が複数の競合他社とあなたのサービスを天秤にかける「最終比較フェーズ」においては、特に精読され、勝敗を分ける「キラーページ」が存在します。
商談の担当者が稟議書を作成する際や、決裁者が最終判断を下す際に、必ず見返すことになる4つの戦略的ページです。これらのページの作り込みが、受注率に直結します。
1. 選ばれる理由
自社の「立ち位置」を明確に示すページです。
顧客は必ず競合と比較します。その際、機能の〇✕だけを羅列した「機能比較表」を提示しても、「一長一短でよくわからない」と思われてしまいがちです。
重要なのは、顧客の「課題軸」で比較すること、そして自社の「立ち位置(ポジショニング)」を明確に示すことです。例えば、「多機能性ではA社に劣るが、〇〇という課題解決のスピードとコストパフォーマンスでは圧倒的に優位である」といった、自社が勝てる土俵を明確にします。価格、機能、サポート体制、導入実績など、どの軸で戦うのかを定義し、自社を選ぶ明確な理由を提示することが求められます。
2. 導入事例
単なる成功談ではなく「再現性」と「具体性」を語るページです。
顧客が導入事例を見るのは、成功談に感動したいからではありません。「自分たちと同じような課題を抱えていた企業が、本当に成功したのか?」という「再現性」の証拠を探しているのです。したがって、単なる「お客様の声」ではなく、以下の要素を具体的に盛り込む必要があります。
- 導入前の課題:どのような「痛み」を抱えていたのか
- 導入の決め手:なぜ他社ではなく、自社を選んだのか
- 導入後の成果:「コスト30%削減」「残業時間 月間20時間削減」といった具体的な「数字」を使って、どれだけの効果が出たのか
自社と似た業種・規模の事例ほど、顧客の「自分ごと化」を促進し、導入への安心感を醸成します。
3. 費用対効果
投資対効果を「数字」で示すページです。
料金プランの提示は必須ですが、決裁者が知りたいのは「価格」そのものよりも「投資対効果(ROI)」です。
「月額〇〇円」というコストに対し、それによって「どれだけのコストが削減できるのか」あるいは「どれだけの売上が見込めるのか」を具体的なシミュレーションで示すことが重要です。たとえば、「本サービス導入により月間△△時間の工数が削減でき、これは人件費換算で□□円のコストカットに相当します。結果、導入費用は3ヶ月で回収可能です」といった具体的なロジックを提示しましょう。
4. FAQ(よくある質問)
顧客の不安を解消し、信頼を勝ち取る「誠実さ」を証明するページです。
商談の場では、聞きそびれた、あるいは聞きづらい「隠れた不安」を顧客は必ず持っています。
- 「導入後のサポート体制は万全か?」
- 「セキュリティ対策は大丈夫か?」
- 「もし解約したくなったらどうなるのか?」
これらの想定される疑問や不安に対して、FAQのページで先回りして誠実に回答しておくことで、顧客の最後の懸念点を解消します。ネガティブに思われかねない質問にも正直に答える姿勢は、かえって企業としての信頼性を高め、導入の最終的な後押しとなります。
営業資料のデザイン5原則
どれほど優れた戦略や構成も、資料が「読みにくい」と思われた瞬間に全て台無しになります。デザインとは、センスのある人が絵を描くことではありません。情報を「最も効率的かつ誤解なく」相手に伝えるための「設計技術」です。ここでは、専門家でなくても今日から実践できる、営業資料のデザイン5原則を紹介します。
1. 「1スライド・1メッセージ」に絞る
最もやってはいけないのが、1枚のスライドに情報を詰め込みすぎることです。文字がぎっしり詰まったスライドは、読み手の認知負荷を極端に高め、「読む気」を失わせます。
スライドを作成する際は、必ず「このスライドで伝えたいことは、一言でいうと何か?」を自問してください。その「一言(メッセージ)」をスライドのタイトルにし、本文はそのメッセージを補足する図解や箇条書きのみに絞り込みます。伝えたいことが複数ある場合は、ためらわずにスライドを分けましょう。
2. フォントと文字サイズでメリハリをつける
資料全体のフォントは、読みやすいゴシック体(例:Windowsなら「メイリオ」「游ゴシック」、Macなら「ヒラギノ角ゴシック」)に統一するのが基本です。
その上で、「タイトル(例:28pt)」「見出し(例:20pt)」「本文(例:16pt)」のように、情報の重要度に応じて文字サイズに明確な差(メリハリ)をつけます。これにより、読み手はどこが重要なのかを瞬時に判断でき、ストレスなく読み進められます。
3. 使用する色は3色以内に絞る
カラフルな資料は一見魅力的に見えますが、実際にはどこが重要なのかが分かりにくく、素人っぽい印象を与えてしまいます。プロフェッショナルな資料は、使用する色を厳選しています。
基本は「ベースカラー(背景や本文:白、黒、グレーなど)」「メインカラー(会社やブランドの基本色)」「アクセントカラー(強調したい箇所に使う目立つ色)」の3色に絞り込みましょう。色の比率は「ベース70%:メイン25%:アクセント5%」程度が黄金比とされています。
4. 視線の流れを意識したレイアウト
読み手の視線は、無意識のうちに特定のパターンで動きます。横書きの場合、基本は左上から右下へと「Z型」に、あるいはWebサイトのように左上から見出しを追いかけて「F型」に動きます。
この視線の流れに逆らわず、最も伝えたい結論や重要な要素を左上やZの動線上に配置し、関連する情報をグルーピングして整列させることで、読み手は直感的に内容を理解できます。各要素を整列させ、「余白」をしっかり取ることも、視認性を高める上で非常に重要です。
5. 図やグラフを効果的に使い、文字量を減らす
「百聞は一見に如かず」の言葉通り、文字だけで長々と説明するよりも、図解やグラフを一つ見せた方が、早く正確に伝わることは多々あります。
- テキストの羅列:冗長で理解に時間がかかる
- 図解(フローチャート、相関図など):物事の関係性や流れを直感的に示せる
- グラフ(円グラフ、棒グラフなど):数字の比較や割合を瞬時に示せる
文章で説明するのではなく、「どうすれば図解できるか?」を常に考える癖をつけましょう。それだけで、資料の分かりやすさは劇的に向上します。
AI時代における営業資料作成の最新トレンド
これまで解説してきた戦略やデザインの原則に加え、近年はAIの進化が資料作成の常識を大きく変えようとしています。AIは単なる「効率化ツール」にとどまらず、資料の「質」そのものを向上させるパートナーとなりつつあります。
AIによる構成案・文章生成の活用法
最も時間のかかる作業の一つが、構成案の策定とスライドごとの文章作成です。ChatGPTやGeminiといった生成AIを活用すれば、このプロセスを劇的に短縮できます。
たとえば、「BtoB SaaSのコスト削減効果を訴求する営業資料の構成案」といった指示(プロンプト)を与えるだけで、論理的な構成案を瞬時に提案してくれます。さらに、各スライドのキャッチコピーや説明文の草案を作成させることも可能です。
もちろん、AIが生成したテキストがそのまま完成品になるわけではありません。しかし、ゼロから文章を考える負担が大幅に軽減されるため、営業担当者は「顧客独自の課題に合わせた微調整」や「自社の強みの肉付け」といった、より戦略的で人間的な作業に集中できます。
AI画像生成ツールを使ったオリジナル図解の作成
「デザイン5原則」でも述べた通り、文字ばかりのスライドは読まれません。かといって、ありきたりのフリー素材では独自性が出せず、複雑な概念を伝える図解を一から作るのは大変な手間がかかります。
この課題を解決するのが、AIによる図解・画像生成ツールです。
「Canva AI」のようなツールでは、デザインテンプレートとAIを組み合わせてスライドを自動生成できます。また、「Napkin AI」のような図解生成に特化したツールを使えば、「AがBに影響し、Cという結果が生まれる」といったテキストを入力するだけで、プロフェッショナルな相関図やフローチャートを自動で生成してくれます。これにより、資料の分かりやすさと独自性が飛躍的に向上します。
営業資料作成におすすめの生成AIツール5選
1. イルシル
イルシルは、生成AIでスライド資料作成を自動化し、誰でも簡単にスライドやパワポが作れるサービスで、スライドのデザインは3,000種類以上あり、入力したテキストからスライドを自動生成できるだけでなく、オリジナルで作成することも可能です。
2. Canva
Canvaは、豊富なテンプレートや素材、そしてあらゆるAI機能を活用して、あっという間に魅力的なデザインを無料で作成できます。Canvaシートを使ってデータをインパクトのある営業用コンテンツに変換できます。
参考:https://www.canva.com/ja_jp/
3. MagicSlides
MagicSlidesは、次世代のPowerPointのあるべき姿です。AIで数秒でプロフェッショナルなプレゼンテーションを生成します。もう空白のスライドから始める必要はありません。シンプルなチャットで操作。質問するだけで完了です。
参考:https://www.magicslides.app/
4. SlidesGPT
SlidesGPTは、AIスライドショーメーカーです。ブログ記事、PDF、その他のソースからテキストをコピーし、テキストプレゼンテーションツールに貼り付けるだけです。SlidesGPTが自動的にそのコンテンツを魅力的なスライドショーに変換してくれるので、時間と労力を節約できます。
5. Gamma
Gammaはプレゼンテーション、ウェブサイト、ソーシャルメディア投稿などを簡単に作成するためのAIデザインパートナーです。その分、あなたは自分の得意分野に集中できるようになります。数分で一貫したブランディングの美しいスライドを作成。PPT、Googleスライドなどにエクスポートできます。
営業資料を「動画資料」に置き換える新たな選択肢
AIによる資料作成の「効率化」が進む一方で、資料そのものの「形態」を進化させ、営業成果に直結させる動きが加速しています。それが、静的なスライド資料を、動的でパーソナルな「動画資料」に置き換えるという新しい選択肢です。
なぜ画一的な資料では、もう顧客に響かないのか?
本記事の前半で「自己満足な資料は読まれない」と解説した通り、現代の顧客は、自分に関係のない一般的な情報に割く時間はありません。
「全業種向け」に作られた汎用的な資料は、「これは自分のための情報ではない」と瞬時に判断され、読まれることなく閉じられてしまいます。顧客が求めているのは、自社の業界、自社の規模、そして自社が今まさに抱えている課題に「最適化」された、パーソナライズされた情報です。
顧客ごとに最適化された「パーソナライズド動画」とは?
この課題を解決するのが「パーソナライズド動画」です。最大の特徴は、動画に「インタラクティブ(双方向)要素」を持たせることで、顧客体験そのものを「最適化」できる点にあります。
たとえば、Video Agent「LOOV」のようなツールでは、動画の途中に設問や選択肢(例:「あなたの課題はAですか?Bですか?」)を設置できます。顧客がその選択肢をクリックすると、その回答に合わせて次に再生される動画シナリオが分岐します。
これにより、顧客は「自分に関係のない情報」をスキップし、能動的に「自分に必要な情報(料金、事例、機能詳細など)」だけを選んで視聴できます。まさに、顧客一人ひとりにとって最短距離で疑問を解決できる、個別最適化されたプレゼンテーション体験の提供が可能になります。
「動画資料」で何が変わるのか?
「動画資料」を導入することで、営業プロセスそのものが大きく変わります。最大のメリットは、営業担当者と顧客、双方の「時間」を最適化できる点です。
従来は商談時間の多くを基本的な機能説明や事例紹介に費やしていました。動画資料を事前に送付し、顧客の関心に合わせて最適化された説明を自動で行うことで(Video Agentなど)、商談当日までに必要な説明を全て終わらせることが可能になります。その結果、営業担当者は商談時間の大部分を「導入するかどうか」の判断といった、クロージングに直結する議論に集中して使えるようになります。
さらに、この効果は商談相手の社内検討プロセスにも及びます。担当者が決裁者に上申する際、従来の資料では「伝え漏れ」や「ミスリード」が発生し、失注するリスクがありました。本記事の前半でも触れた顧客社内で「一人歩きする営業パーソン」として機能する資料として、動画資料であれば、決裁者や関係者の立場・関心に合わせて事例、効果、導入メリットを的確に説明できるため、営業担当者が直接会えない役員層にも正確な情報が確実に届き、受注確度を高めることができます。
これまで、こうした動画資料の作成は非常に手間がかかり、現実的ではありませんでしたが、「LOOV」のようなツールを利用することで、営業担当者はテンプレートを使い、PCのカメラと画面録画を組み合わせて、最短15分程度で顧客専用のプレゼン動画を半自動的に簡単に作成できます。
そして、これらのツールが可能にするのは、単なる動画作成の効率化だけではありません。最大の変化は「作成」から「配信」、そして「効果測定」までをシームレスに連携させ、営業活動全体をデータドリブンに変革できる点にあります。データ活用については、次の章で詳しく解説します。
出典:LOOV株式会社 - LOOV for Sales サービスサイト
営業資料から取得するインテント情報の活用
こうした新しい資料形態の真価は、資料を「送って終わり」にするのではなく、送った資料を「誰が(担当者か、その上司か)」「いつ」「どの部分を(料金ページを3回再生・閲覧した、など)」視聴したかをリアルタイムで分析・可視化することです。このような情報が、「インテント情報」です。
インテント情報とは、顧客の「意図」や「関心」を示す行動データのことです。このデータ取得は、動画資料だけではなく「Sales Doc」や「Mazrica DSR」のような資料共有・管理ツールを使えば、従来のPDFやスライド資料であっても、閲覧状況を正確に把握できます。
インテント情報がもたらす最大の価値は、営業活動を「勘」から「データ」へと進化させ、「インテントセールス」を実現できる点にあります。インテントセールスとは、顧客のWeb行動や資料の閲覧履歴といった「意図」に基づき、最適なタイミングと内容でアプローチする営業手法です。
インテントセールスでは、営業担当者は「顧客の興味が最高潮に達した瞬間」を逃さず、かつ「顧客が最も知りたがっている情報」を把握した上で、最適なフォローアップを行えるようになります。「勘」に頼った営業から、「データ」に基づいた戦略的な営業へと変革する、まさに新常識の営業手法といえるでしょう。
顧客が資料を全く見ていないタイミングで電話をかけるのは「迷惑な営業」ですが、顧客が「今まさに料金ページを繰り返し見ている」というインテント(意図)を察知して、「料金プランの詳細についてご不明点はありませんか?」と連絡するのは「歓迎されるサポート」になります。顧客の「意図」「変化」「タイミング」をデータで捉えることこそが、現代の営業に求められる成果直結の戦略なのです。
まとめ
本記事では、受注率を高めるための戦略的な営業資料の作り方を、思考法から具体的なテクニック、さらにはAIや動画といった最新トレンドまで網羅的に解説してきました。成果の出る営業資料とは、単なる機能や価格の羅列ではなく、「顧客の課題」に寄り添い、「なぜあなたから買うべきか」を明確に示す「ストーリー」が描かれたものです。
重要なポイントを振り返りましょう。まず「準備が9割」と心得え、顧客が誰で何を求めているかを徹底的に考え抜く情報設計が資料の成否を分けます。次に、顧客の「痛み」への共感から「理想の未来」へと導く「ストーリー」で構成を組み上げます。特に「競合比較」「事例」「費用対効果」「FAQ」の4つの戦略的ページは、受注の勝敗を分けるため徹底的に磨き上げましょう。
さらに、デザインの基本原則を守り、AIやパーソナライズド動画、インテント情報の活用といった最新技術は、営業活動そのものを「勘」から「科学」へと進化させてくれます。
また、営業資料は、商談の成果や顧客の反応を見ながら、常に最新の情報にアップデートし続けることが重要です。ぜひ本記事を参考に、まずはあなたの既存の資料が「最強の営業パートナー」として機能しているか、見直すことから始めてみてください。
なぜその「営業資料」は受注に繋がらないのか?
答えは、顧客一人ひとりの課題に最適化されていないからです。「LOOV」は、AIが相手の役職や興味に合わせて説明内容を分岐させることができます。そのため顧客は自分が求めている情報を取得することができ、事前に理解しておきたい内容を把握することができます。まずはサービス資料をご確認ください。
営業資料に関するよくある質問
Q. 営業資料にはどのような種類がありますか?
営業資料は目的や利用シーンに応じて使い分けられます。主なものに、会社の信頼性や全体像を伝える「会社案内資料」、特定の製品やサービスの詳細な機能・メリットを解説する「サービス紹介資料(製品資料)」、特定の顧客の課題に合わせてカスタマイズする「個別提案資料」、導入実績をまとめて紹介する「事例紹介資料」などがあります。
Q. 営業資料の適切なページ数はどれくらいですか?
一概に「何ページが最適」という正解はありません。重要なのはページ数よりも「1スライド1メッセージ」の原則を守ることです。情報を詰め込みすぎてページ数が少なくなるより、各スライドのメッセージを明確にして、結果的にページ数が20~30枚になったとしても、その方が伝わりやすい資料になります。ただし、商談後にメールで送付する際は、読み手の負荷を考慮し、特に重要な点をまとめた10枚程度のダイジェスト版を用意するのも効果的です。
Q. オンライン商談で使う資料は、対面の資料と変えるべきですか?
基本的な構成は変わりませんが、オンラインでは対面よりも「資料の分かりやすさ」が格段に重要になります。オンライン商談では、顧客の視線が営業担当者の表情よりも「画面共有された資料」に集中する時間が長くなるためです。対面以上に「1スライド1メッセージ」の原則を徹底し、文字サイズを大きくしたり、図解を多用したりして、相手がストレスなく理解できるデザインを心がける必要があります。
