採用クロージング5ステップ|内定辞退を防ぐ意思決定プロセス設計
2026年1月30日更新

優秀な候補者に内定を出したものの、最終的に辞退されてしまう。採用担当者にとって、これほど精神面でもリソース面でもダメージが大きい瞬間はありません。「自社よりも条件の良い競合に流れてしまった」「候補者の本音が最後まで分からなかった」といった悩みは、多くの企業が直面する共通の課題です。
採用競争が激化する現代において、単に選考を進めるだけでは優秀な人材を確保することはできません。選考のプロセスを通じて候補者の志望度を高め、最終的に自社を選んでもらうための採用クロージングの技術が不可欠です。本記事では、内定承諾率を向上させるための戦略的なクロージング手法について、基本から具体的な実践ステップまでを解説します。
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クロージングで重要なのは、候補者の不安を解消し、決断を後押しする「熱意ある対話」です。しかし、採用担当者の多くは、カジュアル面談による会社紹介など、多くの「繰り返し行っている説明」に時間を費やしてしまっています。
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採用クロージングとは
採用活動におけるクロージングとは、候補者が内定を承諾し、入社を決意するように働きかける一連のアプローチを指します。営業活動における成約と同様に、候補者が抱える不安を解消し、自社で働くことの価値を確信してもらうための重要なプロセスです。
採用クロージングの基本的な意味
採用クロージングは、単に「内定通知書を渡して返事を待つ」ことではありません。候補者が「この企業で働くことが、自分の人生やキャリアにおいて最良の選択である」と確信を持てるように、必要な情報を提供し、意思決定をサポートする行為です。
このプロセスでは、候補者の価値観やキャリア観に共感し、自社のビジョンや業務内容がどのようにその実現に寄与するかを論理的かつ情緒的に伝える必要があります。つまり、企業側が「選ぶ」立場から、候補者に「選んでもらう」立場へと視点を切り替えることが、クロージングの出発点となります。
採用クロージングは選考初期から始まっている
多くの採用担当者が陥りがちな誤解は、クロージングを「最終面接の後に行うもの」と考えてしまうことです。しかし、実際にはカジュアル面談や書類選考の段階からクロージングは始まっています。初期段階で候補者が何を重視しているのか、どのような不安を抱えているのかを把握できていなければ、最終局面で効果的なアプローチを行うことは不可能です。
選考の各ステップにおいて、候補者の関心事に合わせた情報提供を行い、少しずつ信頼関係を積み上げていくことが、最終的な意思決定をスムーズにします。面接の合間に行うフォローメールや、現場社員とのカジュアルな対話もすべて、クロージングに向けた土壌作りの一環であると認識すべきです。
採用クロージングが重要とされる3つの背景
なぜ今、これほどまでに採用クロージングが重視されているのでしょうか。その背景には、採用市場の構造的な変化と、候補者の価値観の多様化があります。
1. 候補者主導に変わった採用市場
現在の採用市場は、圧倒的な売り手市場です。特に優秀なエンジニアや専門スキルを持つ人材は、常に複数の企業からスカウトを受け、複数の内定を同時に保持していることが珍しくありません。企業が候補者を選別する時代から、候補者が数ある選択肢の中から企業を比較・検討する時代へと完全にシフトしました。
このような環境下では、待っているだけでは他社に埋もれてしまいます。自社の独自性や、候補者が入社することで得られるメリットを能動的に伝え、他社との差別化を図るクロージングの重要性が高まっています。
2. 条件差がつきにくくなっている
給与水準や福利厚生といった条件は、インターネットを通じて容易に比較が可能です。多くの企業が優秀な人材を確保するために処遇を改善しており、条件面だけで圧倒的な差をつけることが難しくなっています。
候補者は年収だけでなく、「誰と働くか」「どのような社会課題を解決できるか」「自分の市場価値がどう上がるか」といった価値を重視するようになっています。これらの数値化しにくい魅力を、候補者一人ひとりの文脈に合わせて伝えるクロージング能力が、成功を左右する決め手となります。
3. 内定辞退が「当たり前」になった
かつては内定を得ることはゴールであり、辞退することに心理的なハードルを感じる候補者も少なくありませんでした。しかし現在は、転職エージェントの活用や口コミサイトの普及により、最後まで複数の選択肢を比較検討することが合理的であるという認識が定着しています。
内定を出した後の承諾待ちの期間に、候補者は現職からの引き止めにあったり、他社の魅力的なオファーに心を動かされたりします。この期間に適切なコミュニケーションを取らなければ、内定辞退は「当たり前」に起こりうるリスクとなります。
新卒・中途で異なる採用クロージング3つの違い
採用クロージングの戦略を立てる際、新卒採用と中途採用ではアプローチを変える必要があります。ターゲットの属性によって、意思決定のプロセスが異なるからです。
1. 意思決定スピードの違い
新卒採用の場合、就職活動の解禁時期から内定出しまでにある程度の期間があり、候補者はじっくりと時間をかけて複数を比較する傾向があります。そのため、長期的なリレーションシップ構築が重要となります。
一方で中途採用は、現在の仕事を続けながら、あるいは離職期間を最小限に抑えたいという動機があるため、意思決定のスピードが非常に速いです。内定から承諾までの期限も短く設定されることが多く、短期間で集中的に不安を払拭し、確信を持たせるスピード感のあるクロージングが求められます。
2. 重視される不安要素の違い
新卒候補者は、社会に出ること自体への漠然とした不安や、「自分にこの仕事ができるのか」という適性への懸念を抱いています。そのため、研修制度の充実度や、歳の近い先輩社員の成功事例など、安心感を与える情報が効果的です。
中途候補者の場合は、より具体的で現実的な不安を抱えています。「前職で不満だった人間関係が解消されるか」「自分のスキルが即戦力として通用するか」「ライフスタイルとの両立が可能か」といった、過去の経験に基づいた懸念点に対して、具体的かつ誠実な回答を示す必要があります。
3. 伝えるべき情報の優先順位
新卒採用では、企業の将来性やビジョン、社風といった「文化的なマッチング」を強調することが、帰属意識を高めることにつながります。長いスパンで共に成長していくイメージを共有することが肝要です。
中途採用においては、入社直後のミッション、チーム構成、評価制度、そして具体的なキャリアパスといった実務的なマッチングの優先順位が高まります。候補者が持つ既存のスキルが、どのように組織の課題解決に結びつくのかを、論理的に説明することがクロージングの鍵となります。
採用クロージングがうまくいかない5つの原因
クロージングに苦戦している企業には、いくつかの共通した失敗パターンがあります。「なぜ内定が決まらないのか分からない」と感じている場合、自社の採用プロセスが以下に当てはまっていないか、チェックしてみてください。
1. クロージングを最終面接だけで考えている
最終面接の場だけで熱意を伝え、その場で返事を迫るような手法は、現代の採用では逆効果になることが多いです。候補者は圧迫感を感じ、かえって警戒心を強めてしまいます。
クロージングは、選考の各フェーズで得た情報を積み上げ、最終面接を「確認と確信の場」にするための準備が必要です。事前の準備を怠り、最終面接だけで決着をつけようとすることが、内定辞退を招く大きな要因です。
2. 候補者の不安を把握できていない
候補者が何に迷っているのかを把握しないまま、自社の魅力を一方的にプレゼンテーションしても心には響きません。不安の内容は、「年収」「残業時間」「人間関係」「スキルの汎用性」など、人によって異なります。
相手の懸念点を見誤ったまま的外れなアピールを続けることは、候補者に「この会社は自分のことを理解してくれていない」という印象を与えます。ヒアリング不足こそが、クロージング失敗の最大の原因と言えます。
3. 自社のアピールが候補者視点になっていない
「業界シェア1位」「最新の技術基盤」といった強みは、必ずしもすべての候補者にとっての魅力ではありません。安定を求める人にはシェアの高さが響きますが、挑戦を求める人には「完成された組織」と映り、魅力が半減する可能性もあります。
自社の特徴を、候補者のメリットに変換して伝えていないケースが多々見受けられます。主語を「自社」ではなく「候補者」に置き換え、その人の人生がどう変わるのか、どう豊かになるのか。その視点がなければ、候補者の心は動きません。
4. 面接官ごとに伝える内容が異なる
1次面接では「自由な社風」と聞いたのに、最終面接では「規律を重んじる」と言われた。このようなメッセージの一貫性のなさは、候補者に強い不信感を与えます。
面接官同士の情報共有が不足していると、候補者の志望動機や懸念点に合わせた一貫したストーリーを提供できません。組織としてのメッセージが統一されていないことは、プロフェッショナルな印象を損なう致命的なミスとなります。
5. 比較される前提で設計できていない
自社の魅力だけを一方的に伝えて満足し、競合他社と比較された際の対策を講じていないケースです。採用において、候補者が他社と比較していることは前提条件と言っても過言ではありません。
他社のオファー内容や、候補者が他社に対して感じている魅力を把握しないままクロージングを進めると、候補者の意思決定軸に沿った説明ができません。競合の強みを認めたうえで、「それでもなぜ自社なのか」を論理的に示せなければ、比較検討の段階で優位性を持つことは難しくなります。
採用クロージングの基本プロセス5ステップ
効果的なクロージングを実現するための標準的なプロセスを解説します。この流れに沿って進めることで、候補者の納得感を高めることが可能です。
1. 面談・ヒアリング|候補者の意思決定軸を知る
まずは、候補者が転職において何を最も重視しているのか、候補者の意思決定の軸を明確にします。これは1対1の面談や選考中の雑談を通じて深く掘り下げていきます。
単に「何を重視しますか?」と聞くのではなく、「これまでのキャリアで最も充実していた瞬間は?」「逆に、何があれば今の会社に残っていましたか?」といった過去の経験を問いかけることで、本質的な価値観を引き出します。この軸が、後のステップで伝えるメッセージの一貫性を支える土台になります。
2. メールや電話フォロー|不安・懸念を言語化する
候補者は、選考が進むにつれて「本当にここでいいのか」という不安を抱くようになります。しかし、その不安は往々にして言語化されておらず、漠然としたものです。
人事担当者は、選考の合間にメールや電話でこまめにコミュニケーションを取り、「今の懸念点は何ですか?」と直接的、あるいは間接的に問いかけます。候補者が口にしにくい「給与」や「評価基準」などのネガティブな疑問も、こちらから先回りして話題に出すことで、信頼関係が深まります。
3. 情報提供|価値と魅力を具体化する
把握した意思決定軸と不安要素に対し、それらを解消し、自社の魅力を裏付ける具体的な情報を提供します。このステップでは、テキストによる説明だけでなく、視覚的・体験的に理解できる情報提供が効果的です。近年では、候補者の関心に合わせて内容を出し分けられるインタラクティブ動画を活用する企業も増えています。
たとえば、Video Agent「LOOV」のようなサービスを使えば、福利厚生を重視する候補者には制度解説動画を、キャリアアップを重視する候補者にはロールモデルとなる社員インタビュー動画を、一つの動画内で選択して視聴してもらうことが可能です。
候補者は自分に必要な情報だけを効率的に取得でき、企業側もどのコンテンツが視聴されたかというデータを通じて、候補者が本当に関心を持っているポイントを把握できます。こうした情報は、その後の面談などのコミュニケーション精度を高めるうえで有効です。
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4. 懇親会・体験入社|体験を通じて理解を深める
実際に一緒に働くことになるメンバーとの懇親会や、半日程度の体験入社を設定し、職場の空気感や働き方を直接体感してもらいます。
このステップの目的は、候補者に入社後の自分を具体的にイメージしてもらうことです。現場の社員と本音で語り合う機会をつくることで、「この環境なら自分は力を発揮できそうだ」「この人たちとなら前向きに働けそうだ」といった、情緒的な納得感が生まれます。条件や情報を理解するだけでなく、感覚的に納得できる体験を提供することが、最終的な意思決定を後押しします。
5. オファー面談|最終判断を後押しする
すべての準備が整った段階で、正式なオファー面談を実施します。ここでは条件面を提示するだけでなく、これまでの選考を通じて評価したポイントと、なぜあなたが必要なのかという期待のメッセージを改めて伝えます。
候補者がまだ迷っている場合は、無理にその場で承諾を迫らず、何を解決すれば決断できそうかを一緒に考え、並走する姿勢を見せます。候補者の背中を押し、決断に寄り添うのがこのステップの役割です。
採用クロージングを成功させる4つのポイント
採用クロージングを成功させるためには、個別の手法だけでなく、プロセス全体を通じて意識すべきポイントがあります。ここでは、採用クロージングのプロセスを回すうえで、押さえておきたい4つのポイントを整理します。
1. 候補者視点で情報を設計する
すべての情報提供は「候補者が何を知りたいか」を起点にするべきです。会社案内を最初から最後まで説明するのではなく、候補者の現在の関心フェーズに合わせて、必要な情報の粒度を調整してください。
たとえば、選考初期はビジョンや夢を語り、選考終盤では具体的な配属先や評価制度の仕組みを詳細に伝えるといった、情報のグラデーションを作る設計が、候補者の納得感を高めます。
候補者体験について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にご覧ください。
参考:採用CX(候補者体験)とは?辞退を防ぐ4つの施策と失敗しない設計方法
2. 面接官全員でメッセージを揃える
面接に関わる全員が、候補者の意思決定軸と自社が提示すべきバリューを共有している状態を作ります。面接の引き継ぎメモには、評価スコアだけでなく「候補者が何に不安を感じており、何を確認したがっているか」を必ず記載しましょう。
どの面接官に会っても、自分の大切にしている価値観を理解してくれていると感じさせることができれば、企業に対する信頼感は強固なものになります。
3. 比較される前提で魅力を伝える
競合他社を否定するのではなく、むしろ尊重したうえで自社の立ち位置を明確に伝えます。「〇〇社は研修が手厚いですが、我が社は実践の場を早く提供できるのが特徴です」といった、客観的な比較に基づいた説明は説得力を持ちます。
候補者がフラットに比較検討できるよう、判断基準を提示してあげること自体が、コンサルタントのような付加価値となり、選ばれる理由になります。
4. 納得につながる体験を設計する
単なる情報の受け渡しではなく、候補者が自ら発見し、納得したという感覚を持てる体験を設計しましょう。一方的な説明ではなく、対話やワークショップ、あるいは前述したインタラクティブ動画のように、候補者のアクションによって情報が得られる仕掛けは、記憶に残りやすく主体的な意思決定を促します。
納得感は、情報の量ではなく「情報の質と、それを受け取るタイミング」によって決まります。
まとめ
採用クロージングは、単なる選考の最終工程ではなく、候補者のキャリアという重大な決断に寄り添う、高度なコミュニケーションプロセスです。売り手市場の現在、候補者の不安を先回りして解消し、一人ひとりに合わせた「個別の価値」を提示できる企業だけが、優秀な人材を獲得できます。
採用クロージングは、単なる選考の最終工程ではなく、候補者のキャリアという重大な決断に寄り添う、高度なコミュニケーションプロセスです。売り手市場の現在、候補者の不安を先回りして解消し、一人ひとりに合わせた「個別の価値」を提示できる企業だけが、優秀な人材を獲得できます。
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採用クロージングに関するよくある質問
Q1. 採用クロージングはいつから始めるべき?
採用クロージングは、最初の接点であるカジュアル面談や書類選考の段階から始めるのが理想的です。初期段階から候補者の価値観や不安要素を丁寧にヒアリングし、各選考ステップでそれらを解消する情報を小出しに提供していくことで、最終面接の時点で既に「この会社に入りたい」という土壌ができあがっている状態を目指しましょう。
Q2. 面接官にクロージングをどう浸透させる?
現場の面接官には、面接は評価の場であると同時に、自社のファンを作る場であるという意識を持ってもらうことが重要です。具体的な対策として、過去の内定辞退事例を共有し、どのようなコミュニケーションが不足していたかを可視化することや、候補者の意思決定軸を共通の評価シートに項目として設けることが有効です。
Q3. 内定後フォローもクロージングに含まれる?
はい、内定後フォローもクロージングに含まれます。内定承諾後であっても、入社当日までは現職からの引き止めや他社からのアプローチによって気持ちが揺れ動く可能性があるためです。入社までの期間に定期的な面談やランチ設定、あるいは入社後の準備に役立つ情報の提供を行い、期待感を維持し続けることが重要です。
