人事DXとは?進め方・メリット・ツール選定まで徹底解説【診断付】

2025年12月10日更新

人事DXとは?進め方・メリット・ツール選定まで徹底解説【診断付】

「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」が経営課題として掲げられる中、人事部門においてもその対応が急務となっています。しかし、現場の担当者からは「何から手をつければよいか分からない」「ツールが多すぎて、自社に最適なものが選べない」といった悩みが尽きません。

事実、多くの企業が「ツール導入」自体を目的にしてしまい、現場の業務フローと適合せずに定着しない「形だけのDX」に陥っています。人事DXの本質は、単なるペーパーレス化や効率化にとどまらず、データ活用によって「人が活きる組織」へと変革することにあります。

本記事では、人事DXの基礎知識やメリットといった基本事項はもちろん、経産省のガイドラインや成功事例に基づいた「失敗しない進め方」を解説します。さらに、自社の状況に合わせて優先順位を判断できる「着手領域診断」や、システム選定における「客観的な評価基準」も提示します。

この記事を読み終える頃には、曖昧だったDXの全体像がクリアになり、貴社が「明日から具体的にどのアクションを起こすべきか」が明確になっているはずです。まずは、自社の現在地を知ることから始めましょう。

採用面接や研修など人事業務で行う「同じ説明」を
AIに任せてみませんか?

人事DXの第一歩は、ルーティン業務の削減です。VideoAgent「LOOV」を活用することで、採用説明会や入社研修などの「繰り返しの説明」で使用している資料をアップロードするだけで、AIで自動化することができます。 人事担当者がよりコアな業務に集中できる環境を実現するため、まずはサービス資料でご確認ください。

Video Agent「LOOV」の資料をみる

この記事の内容
  1. 人事DX(HRDX)とは何か? 定義とHRテックとの違い
  2. なぜ今、人事DXが必要なのか?
  3. 「守りのDX」と「攻めのDX」の違い
  4. 人事DXを導入する3つのメリット
  5. 【診断】自社はどこから始めるべき? 人事DXの優先順位
  6. 人事DXの推進で直面しやすい「課題」と「対策」
  7. 人事DXの正しい進め方 4ステップ
  8. 人事DXで活用できる主要ツールと選び方のポイント
  9. 課題解決のためのツール活用術と成功事例
  10. 人事DXを成功させるための3つの重要ポイント
  11. まとめ|まずは身近な業務の「小さなデジタル化」から始めよう
  12. 人事DXに関するよくある質問

人事DX(HRDX)とは何か? 定義とHRテックとの違い

「人事DX」という言葉を耳にする機会が増えましたが、その正確な定義や「HRテック」との違いを明確に説明できる担当者は少ないのが現状です。まずは、この言葉の本質的な意味を理解することから始めましょう。

人事DXとは、単に人事関連の業務をデジタル化(ペーパーレス化など)することだけを指すのではありません。データとデジタル技術を活用して、人事業務の効率化だけでなく、人事戦略や組織文化、ひいては企業のビジネスモデルそのものを変革することを指します。

よく混同される「HRテック」は、AI(人工知能)やクラウド、ビッグデータ解析などの最先端技術を活用した「サービスやツールそのもの」を指します。つまり、HRテックは人事DXを実現するための「強力な手段」であり、人事DXはその手段を使って成し遂げる「目的(変革された状態)」であるといえます。

用語 意味 関係性
HRテック 人事業務を支援するテクノロジーやサービス 手段(ツール)
人事DX テクノロジー活用による組織や戦略の変革 目的(ゴール)

なぜ今、人事DXが必要なのか?

多くの日本企業で人事DXが急務とされている背景には、主に以下の3つの要因があります。

「2025年の崖」とレガシーシステムの限界

経済産業省の「DXレポート」[^1]でも指摘されている通り、複雑化・老朽化した既存システム(レガシーシステム)を放置すれば、2025年以降、年間最大12兆円の経済損失が生じると予測されています。人事領域においても、古い給与システムやExcel管理からの脱却が喫緊の課題となっています。

労働人口の減少と人材獲得競争の激化

少子高齢化により、労働人口は確実に減少しています。限られた優秀な人材を採用し、定着(リテンション)させるためには、データに基づいた科学的な採用戦略や、魅力的な職場環境の整備が不可欠です。

働き方の多様化への対応

リモートワークや兼業・副業の普及により、従来の「顔を合わせた管理」は限界を迎えています。デジタルツールを活用した勤怠管理や、オンラインでの公平な評価制度の構築が求められています。

「守りのDX」と「攻めのDX」の違い

人事DXは、その目的によって大きく2つの側面に分けられます。

守りのDX(業務効率化)

まず「守りのDX(業務効率化)」についてです。これは、コスト削減やミスの防止、コンプライアンス遵守を主な目的とします。具体的には、給与明細のWeb化や勤怠管理システムの導入、年末調整のペーパーレス化などが挙げられます。これらにより、担当者の事務工数を削減し、本来注力すべき戦略業務への時間を創出する効果があります。

攻めのDX(価値創出)

次に「攻めのDX(価値創出)」です。これは、生産性やエンゲージメントの向上、ひいては経営戦略への貢献を目的とします。具体的には、タレントマネジメントシステムによる適材適所の配置や、AIを活用した採用マッチング、パルスサーベイによる組織状態の可視化などが該当します。データ活用により組織のパフォーマンスを最大化し、企業の競争力を高める効果が期待できます。

多くの企業では、まず「守りのDX」で基盤を整え、そこで生まれた余裕とデータを活用して「攻めのDX」へとステップアップしていくのが定石です。

人事DXを導入する3つのメリット

人事DXの導入には、ツールのコストや業務フロー変更の手間がかかります。しかし、それらを補って余りあるメリットが、企業(経営層)、人事担当者、そして従業員の全員にもたらされます。

1. 業務効率化とコスト削減

最も即効性があり、実感しやすいメリットです。これまで手入力や紙の回覧で行っていた定型業務をデジタル化・自動化することで、人為的なミス(ヒューマンエラー)を解消し、作業時間を大幅に短縮できます。

例えば、入社手続きや年末調整をクラウド化すれば、書類の配布・回収・不備確認・データ入力といった膨大な工数が削減されます。これにより、人事担当者は採用活動や制度設計、社員面談といった「人にしかできないコア業務」に集中できるようになります。

2. 戦略人事の実現と意思決定の高度化

これまで日本の人事領域では、「KKD(勘・経験・度胸)」に頼った意思決定が多く見られました。人事DXにより人材データを一元管理・可視化することで、ファクト(事実)とデータに基づいた客観的な判断が可能になります。

たとえば、人材配置においては、「あの部署と相性が良さそうだ」という上長の主観的な感覚だけでなく、個々のスキルデータや過去の評価履歴、適性検査の結果に基づいて、客観的に適材適所を実現します。これによりミスマッチを防ぎ、早期戦力化を促すことができます。

また、人材育成においても、データ活用が威力を発揮します。社内で高い成果を出している「ハイパフォーマー」の行動特性(コンピテンシー)を分析し、それをモデルとした育成プランを策定したり、個々のスキルギャップを特定して最適な研修をレコメンドしたりすることで、科学的な人材開発が可能になります。

このように、経営戦略と連動して人材を活用する「戦略人事」を実現する基盤となります。

3. 従業員体験(EX)とエンゲージメントの向上

人事DXは従業員にも大きなメリットをもたらします。これをEX(従業員体験)の向上と呼びます。

煩雑な申請業務がスマホ一つで完結したり、チャットボットで就業規則や福利厚生の疑問が即座に解決したりすれば、従業員のストレスは減り、業務への集中度が高まります。また、納得感のある評価制度や、自分のスキルを活かせる配置が行われることで、会社への信頼や貢献意欲(エンゲージメント)が向上し、結果として離職防止にもつながります。

【診断】自社はどこから始めるべき? 人事DXの優先順位

「人事DXの必要性はわかったが、何から手をつければいいか分からない」
そう悩む担当者のために、自社の状況に合わせて最初に取り組むべき領域がわかる診断チャートを用意しました。まずは自社の現在地を確認しましょう。

人事DX推進のための診断チャート

フェーズ1:守りのDX(労務・給与・勤怠のデジタル化)

「アナログ業務のデジタル置き換え」の段階です。
多くの企業が最初に直面する壁です。勤怠管理、給与計算、社会保険手続きなどの定型業務が紙やExcelで行われている場合、まずはここをクラウドシステム(SaaS)などに置き換えることが最優先です。これを行わずに高度な分析(フェーズ3)を行おうとしても、データの収集だけで疲弊してしまいます。

そのため、まずは日々の打刻を自動化する「勤怠管理システム」や、複雑な計算を自動化する「給与計算システム」、入退社手続きを効率化する「労務管理システム」の導入に着手し、アナログ作業からの脱却を目指しましょう。

フェーズ2:攻めのDX(人材の可視化・タレントマネジメント)

「データの統合と活用準備」の段階です。
フェーズ1で業務は効率化されましたが、各システムのデータがバラバラに存在している状態(サイロ化)では、戦略的な活用ができません。「誰が、どこにいて、どんなスキルを持っているか」を全社横断で検索・参照できるように、データを一元化する必要があります。

ここでは、社員の顔写真や経歴、スキル情報を集約できる「人材データベース」の構築や、評価プロセスを効率化しながらデータを蓄積する「タレントマネジメントシステム」の活用が有効です。

フェーズ3:未来のDX(AI予測・ピープルアナリティクス)

「データによる予測と意思決定」の段階です。
蓄積されたデータを統計解析やAIで分析し、未来のアクションにつなげます。「どのような属性の人が退職しやすいか(退職予兆)」や「来期の部門別人員必要数」などを予測し、先手の対策を打ちます。

この段階では、蓄積データから法則性を導き出す「ピープルアナリティクスツール」や、過去の応募者データから活躍人材を見極める分析機能を備えた「採用管理システム(ATS)」などを活用し、意思決定の精度を高めていきます。

参考:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」

人事DXの推進で直面しやすい「課題」と「対策」

多くの企業が人事DXに取り組む中で、共通して直面する「壁」があります。これらを事前に把握し、対策を講じておくことがプロジェクト成功のカギとなります。

1. 目的が不明確なままツールを導入してしまう

最も多い失敗パターンです。「流行っているから」「社長の指示だから」という理由だけでツールを導入したものの、現場が使いこなせず、結局元の運用(Excelや紙)に戻ってしまうケースです。PwC Japanグループの調査でも、十分な成果の獲得に至る企業は約10%にとどまり、日本企業のDXが「現場任せの、いわば改善のための改善」に陥ってしまっているのではないかとの懸念が指摘されています。手段が目的化してしまうと、現場の納得感は得られません。

まず対策として、DXの目的やビジョンを明確にし、「どの業務の、どの工数を、どれくらい削減したいのか」または「どんなデータを見て、どんな判断をしたいのか」という目的をKGI/KPIレベルまで落とし込み、現場と合意形成を図ります。

参考:日本企業のDX推進実態調査2024(速報版)〜足踏みする日本のDXの実態〜

2. データの分散(サイロ化)によるデータ活用の壁

勤怠管理はA社、評価はB社、採用はC社……とバラバラのシステムを導入してしまい、データが連携されていない状態です。いざ「ハイパフォーマー分析」をしようとしても、評価データと勤怠データをCSVで出力し、Excelで手作業で加工・統合しなければならず、膨大な手間がかかります。

このような状況を未然に防ぐ対策として、導入前に必ず「データ連携のしやすさ(API連携の有無)」を確認します。または、最初から複数の機能が統合された「オールインワン型」のシステムを選定するか、各システムのハブとなる「人材データベース」を構築します。

3. ITリテラシー不足と現場の抵抗

「今のやり方(紙やExcel)で回っているのに、なぜ変える必要があるのか」という現場からの反発は避けられません。特に、ITツールに不慣れな従業員が多い場合、新しいシステムへのアレルギー反応が強くなります。IPAのDXレポートによれば、従業員数が100名以下の小規模企業では「DXに取り組むための知識や情報が不足している」が59.0%、「自社がDXに取り組むメリットがわからない」が43.6%となっており、DXの取り組みへ踏み出すための動機付けに課題があると考えられています。

このような課題に対しては、実行の手順と丁寧な説明が効果的な対策となります。まず、経営層から「なぜ会社としてこれに取り組むのか」を力強く発信してもらう(トップダウン)と同時に、操作説明会やマニュアル整備を丁寧に行い、現場の不安を取り除きます。「このシステムを使えば、皆さんの残業がこれだけ減ります」という具体的なメリットを提示することが重要です。また、DXを推進する人材の育成と確保も必要な要素となります。経営が示したDXのビジョン実現のために、DX推進の準備段階からDX人材に関する計画と予算を確保しましょう。

参考:IPA(情報処理推進機構)「DX動向2024」進む取組、求められる成果と変革

人事DXの正しい進め方 4ステップ

人事DXを成功させるためには、いきなりツールを導入するのではなく、以下の4つのステップを着実に踏むことが推奨されます。

1. 現状の業務フロー可視化と課題の洗い出し

まずは、現在の人事業務がどのように行われているか(As-Is)を正確に把握します。「誰が」「どんなツールで」「どれくらいの時間をかけて」作業しているかを洗い出し、非効率な部分やミスが起きやすい箇所を特定します。

2. あるべき姿(ビジョン)の策定と優先順位付け

洗い出した課題に対し、「どうなりたいか(To-Be)」を描きます。全ての課題を一度に解決することは不可能です。前述の「診断チャート」も参考に、「まずは労務の効率化から(フェーズ1)」「次は評価制度の刷新(フェーズ2)」といった優先順位を決定します。

3. 適切なツールの選定とスモールスタート

優先順位の高い課題に適したツールを選定します。この際、いきなり全社導入するのではなく、特定の部署や希望者のみでトライアル導入(スモールスタート)を行い、使用感や課題を確認することをお勧めします。

4. 社内定着とデータ活用のPDCA

本格導入後は、運用が定着するまで手厚いサポートを行います。また、導入して終わりではなく、「当初の目的(工数削減やデータ活用)が達成できているか」を定期的に検証し、運用ルールや設定を見直すPDCAサイクルを回します。

人事DXで活用できる主要ツールと選び方のポイント

前章の「診断」で特定した導入すべきツールとその選定基準を解説します。

労務管理・勤怠管理システム(効率化重視)

勤怠管理や給与計算は、全従業員に関わり、かつ毎月必ず発生する業務です。ここが紙やExcelで行われていると、転記ミスやチェック作業に人事のリソースが忙殺され、戦略的な業務に手が回りません。また、法改正への対応漏れなどのリスクも高まります。つまり、フェーズ1の最重要課題は「正確性の担保」「定型業務の自動化による時間の創出」です。

この目的を達成するためには、以下の機能を持つツールが必要です。

  • 勤怠打刻・集計:スマホやICカードでの打刻、残業時間の自動集計
  • 給与計算・明細発行:勤怠データを取り込み自動計算、Web明細の配信
  • 労務手続き:入退社時の社会保険書類の自動作成、電子申請

選定ポイント

ツールを選ぶ際は、単に「機能があるか」だけでなく、「自動化の効果を最大化できるか」という視点で以下を確認してください。

1. 既存システムとの連携性
勤怠データが給与システムに自動連携されるか(またはCSV取込が簡単か)を確認しましょう。ここがスムーズでないと、結局「手入力」が残り、DXの効果が半減します。
2. 法改正への自動対応
労働基準法や社会保険料率の改定など、頻繁な法改正にベンダー側で自動アップデートしてくれるクラウド型(SaaS)であることが必須条件です。
3. 現場(従業員)の使いやすさ
マニュアルを読まなくても直感的に打刻や申請ができるUI(画面設計)かどうかが、定着の鍵を握ります。従業員が迷わず使えるスマホアプリがあると利用率が高まります。

タレントマネジメントシステム(育成・評価重視)

フェーズ1で業務効率化ができても、従業員のスキルや評価データがExcelや紙で各部署に散らばっていては、「誰をどこに配置すべきか」「誰が辞めそうか」といった判断ができません。フェーズ2の課題は、散在するデータを一箇所に集約し、「顔と名前とスキルが一致する状態」を作ることです。

そのために人材データを「集めて、見やすくする」ための機能が必要となります。

  • 人材データベース:社員プロフィール、経歴、資格、過去の評価を一元管理
  • 人事評価ワークフロー:MBOやコンピテンシー評価のWeb運用、進捗管理
  • スキル管理・アンケート:スキルマップの可視化、パルスサーベイの実施

選定ポイント

「データを溜める」だけでなく、「活用しやすい状態にする」ために、以下の視点が重要です。

1. 評価制度の柔軟性
自社独自の評価シートや評価プロセス(目標設定→中間面談→最終評価など)を、システム上でそのまま再現できるカスタマイズ性があるかを確認してください。
2. データの検索性と視認性
「TOEIC800点以上で営業経験がある人」といった条件で瞬時に検索できるか、顔写真付きで組織図が見られるかなど、現場のマネージャーが直感的に使えるかが重要です。
3. カスタマイズの容易さ
項目の追加や変更を、ベンダーに依頼せずとも人事担当者がドラッグ&ドロップで簡単に設定できるものが望ましいです。

採用管理システム(ATS)と分析ツール

データが集まっても、それを未来の意思決定に活かせなければ宝の持ち腐れです。「どんな人材を採用すれば活躍するか」「退職の予兆はどこに出るか」といった予測に基づく先手の対策を打つことで、採用ミスマッチや離職を防ぎ、組織のパフォーマンスを最大化します。

ここでは、過去のデータを分析し、未来のアクションに繋げる機能が求められます。

  • 採用管理(ATS):応募者管理、面接日程調整、選考ステータス管理
  • ピープルアナリティクス:退職予測、ハイパフォーマー分析、組織コンディション分析

選定ポイント

高度な分析を行うため、ツール自体の分析能力に加え、外部との連携力が問われます。

1. 分析機能の充実度と自動化
蓄積されたデータから、「活躍人材の傾向」を可視化、分析する機能や「退職リスク」をAIが自動でレポートしてくれる機能があるか。担当者がExcelで集計し直す必要がないものを選びましょう。
2. 求人媒体やSNSとの連携
主要な求人サイトやエージェントからの応募者情報を自動で取り込めるか、LINEなどで候補者とスムーズに連絡が取れるかなど、母集団形成から入社までをシームレスに繋げる機能が重要です。

全カテゴリー共通:失敗しないツール選定の5つの基準

ツール選びで迷ったら、以下の5つの基準で、候補となっているツール毎に「〇✕表」を作成して比較してみましょう。

1. サポート体制
  • 導入時だけでなく、運用開始後もチャットや電話で相談できるか?
  • 専任の担当者(カスタマーサクセス)がつくか?
2. データ連携 (API)
  • 他社のシステム(給与ソフトやチャットツールなど)とスムーズに連携できるか?
  • CSV連携の手間は許容範囲か?
3. UI/UX (使いやすさ)
  • ITに詳しくない従業員でもマニュアルなしで直感的に操作できるか?
  • スマホでの使い勝手は良いか?
4. セキュリティ
  • 個人情報保護の認証(Pマーク、ISMSなど)を取得しているか?
  • データのバックアップ体制は万全か?
5. コスト体系
  • 初期費用と月額費用のバランスは適切か?
  • オプション機能追加で予算オーバーにならないか?

課題解決のためのツール活用術と成功事例

「ツールを入れて終わり」にしないためには、他社が「どのツールを使ったか」ではなく、「どのような課題を、どう解決したか」というプロセスを知ることが重要です。ここでは、代表的な3つの課題解決パターンを紹介します。

【工数削減】採用プロセスの「動画化」で対応工数を削減(株式会社フィールドサーブジャパン)

多くの人材派遣・紹介会社が抱える「求職者への連絡がつかない」「同じ説明を何度も繰り返す」という課題。同社では、このプロセスに「インタラクティブ動画ツール」を組み込むことで、劇的な効率化を実現しました。

直面していた課題

採用活動において、電話不通やメール未返信による求職者の離脱で面接への移行率が下がっていました。また、人材派遣の需要が高まり、人材コーディネーターが登録者への電話連絡や仕事説明に追われ、本来注力すべきマッチング業務に時間を割けない状況でした。

解決策(ツール活用)

仕事内容や条件の確認を、双方向のやり取りが可能なインタラクティブ動画を活用したLOOV社の「Video Agent」に置き換えました。求職者は24時間365日、自分の都合の良い時間に動画を見ながら、質問に答えるだけで、求人条件の理解度や希望条件を確認し、そのまま面接予約までが完了します。

導入後の成果

これまで、コーディネーターが面接前に電話で実施していた求人条件と経験やスキルの不一致の確認作業をインタラクティブ動画の「Video Agent」に問題なく移行することができました。これにより業務時間を30%削減できただけでなく、課題だった「面接移行率」を7%に改善できました。

ルーティン業務の削減により、余裕が生まれた分の業務時間は、求職者のプロフィールシートの確認整備や、面接の準備、ドキュメント作成業務に振り向けられています。また、コア業務に集中できるようになり、求職者へのフォローアップや教育、研修、ナレッジ共有などに時間を再配分できるようになりました。結果として求職者の意識変容や離職率の抑制、そしてクライアントの満足度向上にもつながっています。

参考:LOOV「応募から面接までの移行率が50%→57%に改善。Video Agentが担う“新しい採用担当”の役割とは」|導入事例:株式会社フィールドサーブジャパン

【離職防止】「顔とスキルの見える化」で離職率4.5pt改善(株式会社日比谷花壇)

設立70年を超える老舗企業である同社は、事業の多角化が進む中で、従業員の「本音」が見えにくくなるという課題に直面していました。そこでタレントマネジメントシステムを活用し、データに基づいた対話文化を醸成しました。

直面していた課題

従来のタウンミーティングや満足度調査だけでは従業員の本音を拾いきれず、具体的な課題改善につながっていませんでした。また、キャリアパスが固定化されやすく、従業員が受動的になりがちで、離職率も12.5%となっていました。

解決策(ツール活用)

タレントマネジメントシステム「HRBrain」のサーベイ機能を活用し、組織の状態を定点観測(スコアリング)。その結果をもとに、上長がメンバーと対話する「1on1」の実施を各部署へ促しました。

導入後の成果

サーベイ結果という客観的なデータがあることで対話がしやすくなり、1on1の実施率が約40%から約80%へと倍増。心理的安全性が高まった結果、離職率は12.5%から8.0%へと4.5ポイント改善しました。

参考:HRBrain|1on1実施率が倍増、離職率は4.5%減。従業員の「過去と未来」をつなぐ、サーベイ起点の戦略的人事とは?|導入事例|株式会社日比谷花壇

【人材データ活用】新卒の「活躍期待度」を可視化し初期配属に活用(株式会社ジェーシービー)

国内大手カード会社のJCBでは、新卒配属の決定プロセスにおいて、従来の「経験と勘」に加え、データに基づいた客観的な指標を導入しました。

直面していた課題

従来の新卒配属は、採用面接、適性検査、入社前研修、面談という一連のフローから得られた情報を活用して、最終的には、人事担当者の過去の業務経験に頼って決定していた部分があり、「なぜその配属なのか」という根拠を定量的に説明しきれないという課題がありました。

解決策(ツール活用)

既存社員の属性ごとに、適性検査の項目における活躍社員の特徴を定量指標化し、各種基準の評価に活用する手法を模索していた中で、データを整理し構造化するツールとしてピープルアナリティクスツール「アッテル」を導入しました。「〇〇性xx以上かつ〇〇性xx以下の人はxx部署で活躍する可能性が高い」といった基準値をAIが自動作成し、条件を手動で微調整しながら検証して、配属先での「活躍期待度」を数値化しました。

導入後の成果

「活躍期待度」という客観的な指標が加わったことで、配属決定の納得感が向上しました。また、データ分析の結果が、人事担当者が迷った際の「最後の一押し」として機能し、意思決定のスピードと質を高めることに成功しています。

参考:アッテルLAB|新卒の「活躍期待度」を可視化し初期配属に活用。JCBが推進するデータを活用した人材分析高度化の取り組み

人事DXを成功させるための3つの重要ポイント

成功企業に共通しているのは、ツール選びの巧拙ではなく、以下の3つの「ソフト面(組織・人・データ)」への配慮です。

1. 経営層を巻き込み「全社課題」として取り組む

人事DXは、人事部門だけで完結するプロジェクトではありません。例えば「現場の入力作業」が発生する場合、現場部門の協力が不可欠です。また、採用や配置の変革は経営戦略そのものです。担当者レベルで小さく始めるのではなく、必ず経営層から「なぜ今、人事DXが必要なのか(例:生き残りのため、社員の幸福のため)」というメッセージを全社に発信してもらい、トップダウンの推進力を確保しましょう。

2. データガバナンスを整備し「使えるデータ」を蓄積する

「データ分析をしたいが、データが不揃いで使えない」というのが最大の落とし穴です。

  • 「正社員」の定義は全社で統一されているか?
  • 「退職理由」の入力ルールは決まっているか?

ツール導入と同時に、こうしたデータの入力ルールや定義(データガバナンス)を整備しなければ、信頼性の低いデータが蓄積され、誤った分析結果を導いてしまうリスクがあります。

3. 従業員との対話を重ね「やらされ感」を払拭する

現場の従業員にとって、新しいツールの導入は「仕事が増える」「監視される」というネガティブな印象になりがちです。
「このツールを使うことで、皆さんの残業が減ります」「公平な評価につながります」といった従業員側のメリットを丁寧に説明し、対話を重ねることが、定着への最短ルートです。現場の理解なしにDXを成功させることは困難です。

まとめ|まずは身近な業務の「小さなデジタル化」から始めよう

本記事では、人事DXの定義からメリット、失敗しない進め方、そしてツール選定の基準までを解説してきました。
人事DXの本質は、高価なツールを導入することではありません。データとデジタルの力を使って、「人が本来やるべき創造的な業務(採用、育成、制度設計)」に集中できる環境を作ることです。

「自社にはまだ早い」「予算がない」と足踏みをしてしまう前に、まずは「診断チャート」で自社の現在地を確認してみてください。もし、勤怠管理がまだ紙やExcelで行われているなら、それをクラウド化するだけでも立派な「人事DXの第一歩(フェーズ1)」です。

いきなり組織全体を変えようとする必要はありません。まずは目の前の非効率な業務を一つデジタル化し、「便利になった」「楽になった」という小さな成功体験を積み重ねることから始めてみてはいかがでしょうか。その小さな一歩が、やがて企業の競争力を左右する大きな変革(攻めのDX)へとつながっていくはずです。

採用面接や研修など人事業務で行う「同じ説明」を
AIに任せてみませんか?

人事DXの第一歩は、ルーティン業務の削減です。VideoAgent「LOOV」を活用することで、採用説明会や入社研修などの「繰り返しの説明」で使用している資料をアップロードするだけで、AIで自動化することができます。 人事担当者がよりコアな業務に集中できる環境を実現するため、まずはサービス資料でご確認ください。

Video Agent「LOOV」の資料をみる

人事DXに関するよくある質問

人事DXの検討を進める中で、担当者が抱きがちな疑問にお答えします。

Q. 従業員数が数名の小規模企業でも人事DXは必要ですか?

はい、小規模だからこそ導入のメリットがあります。
従業員数が少ない企業ほど、特定の担当者に業務が集中する「属人化」のリスクが高くなります。その担当者が急に休んだり退職したりすると、給与計算や労務手続きがストップしてしまう恐れがあります。クラウド型のツールであれば、月額数千円程度から低コストで導入でき、業務の標準化とリスク分散が可能になります。

Q. 予算がなかなか確保できません。どう説得すればよいでしょうか?

「コスト削減効果」を数値化し、補助金の活用も検討しましょう。
「便利になる」という定性的なメリットだけでなく、「ペーパーレス化による印刷・郵送代の削減額」や「作業時間短縮による残業代の削減見込み」を試算し、具体的なROI(投資対効果)を経営層に提示することが重要です。また、「IT導入補助金」などの公的支援制度を活用することで、導入コストを大幅に抑えられる可能性があります。

Q. 専任のDX担当者がいないと推進は難しいでしょうか?

専任が理想ですが、兼任でも推進は可能です。
多くの企業では、人事担当者が通常業務と兼任でDXを進めています。成功のポイントは、自社だけで全てやろうとしないことです。導入サポートが手厚いベンダーを選んだり、外部のコンサルタントを活用したりして、社内のリソース不足を補う工夫をしましょう。また、スモールスタートで範囲を限定して始めることも、兼任担当者の負担を減らす有効な手段です。

Q. 既存のシステムと新しいツールが連携できるか不安です。

無料トライアル期間に必ず「連携テスト」を行いましょう。
多くのクラウドサービス(SaaS)は、API連携やCSV取り込みによって他社システムとデータ連携が可能です。しかし、理論上は可能でも「項目の形式が合わない」などのトラブルが起きることがあります。本格導入前に必ず無料トライアルを利用し、自社のデータを使ってスムーズに連携できるかを確認してください。

この記事読んだ人はこんなページを読んでいます。

3分でLOOVが分かる資料
資料をダウンロードする