採用代行サービスとは

採用代行の定義

採用代行サービスは、採用活動における一連の業務を企業の代わりに遂行する外部サービスのことです。「RPO（Recruitment Process Outsourcing）」とも呼ばれ、求人票作成から応募者対応、面接調整、内定後のフォローまで、多岐にわたる業務を専門家が代行します。

このサービスを活用する際、特に注意したいのが法律上の取り扱いです。外部サービスが応募者と直接雇用契約を結ぶわけではないため、職業安定法上の「職業紹介」には該当しません。しかし、一部の業務を外部に委託する契約（業務委託契約）として扱われるため、委託範囲を明確にし、個人情報の取り扱いに関する規約をしっかりと確認することが重要です。

注目される背景

1. 採用市場の競争激化

少子高齢化で労働人口が減少し、優秀な人材の獲得競争が激化しています。採用活動はSNSやダイレクトリクルーティングなど多様化しており、専門知識なしで対応するのが難しくなりました。そのため、専門的なノウハウを持つ採用代行の活用が増えています。

2. 採用担当者の業務負荷増大

求人票作成や応募者対応に加え、広報活動やSNS運用など、採用担当者の業務範囲が拡大しています。これにより、リソースが不足し、コア業務に集中できない企業が増加しています。業務効率化と戦略的な採用のために、採用代行の需要が高まっています。

採用代行で任せられる5つの業務領域

1. 求人票作成・媒体運用

採用代行サービスは、まず求人票の作成から支援します。単に依頼された内容をまとめるだけでなく、ターゲットとなる人材に響くような魅力的な求人票を作成するプロです。さらに、どの求人媒体に掲載すれば最も効果的かを分析し、運用管理まで一貫して任せられます。

2. 母集団形成・スカウト代行

自社で応募が集まらない場合でも、採用代行は豊富なノウハウとネットワークを活かし、効果的な母集団形成を支援します。ダイレクトリクルーティングに特化したサービスでは、企業に代わって候補者にスカウトメールを送付する業務も代行します。これにより、潜在的な候補者に直接アプローチし、接点を作ることが可能です。

3. 応募者対応・面接調整

採用活動で最も工数がかかる業務の一つが、応募者とのやり取りです。採用代行サービスは、応募受付から応募者への連絡、面接日程の調整、合否連絡まで、一連の対応を迅速かつ丁寧に行います。応募者とのコミュニケーションを円滑にすることで、企業のイメージアップにもつながります。

4. 書類選考・一次面接代行

多くの応募者が集まった場合、書類選考だけでも膨大な時間がかかります。採用代行サービスの中には、企業の求める人物像や選考基準に基づき、書類選考や一次面接を代行するサービスもあります。これにより、採用担当者は、候補者の見極めといったコア業務により集中することができます。

5. 採用データ分析・改善提案

採用代行は、単なる事務作業の代行に留まりません。応募経路ごとの応募数や通過率、採用単価など、採用活動におけるさまざまなデータを収集・分析し、客観的な視点から改善点を提案します。これにより、採用活動のボトルネックを特定し、より効率的で効果的な採用戦略を立てることが可能になります。

採用代行の料金体系と費用相場

採用代行サービスの料金は、依頼する業務範囲や期間、サービス内容によって大きく異なりますが、一般的な相場感を知っておくことは重要です。料金体系は主に「成果報酬型」「月額固定型」「ハイブリッド型」の3つに分けられます。

成果報酬型

人材紹介サービスと同様に、採用が決定した段階で費用が発生する料金体系です。多くの場合、採用した人材の年収の一定割合（20〜35%程度）を支払う形になります。採用コストを事前に確定しにくいデメリットはありますが、採用に至らなければ費用が発生しないため、リスクを抑えたい企業に適しています。

月額固定型

業務の依頼範囲に応じて、毎月一定の料金を支払う料金体系です。一般的に、依頼する業務範囲が広ければ広いほど月額費用は高くなります。費用相場は、依頼する業務内容によって大きく変動しますが、月額10万円から50万円程度が一般的です。事前に費用を把握できるため、予算管理がしやすいというメリットがあります。

成功報酬＋固定費のハイブリッド型

月額固定費と成果報酬を組み合わせた料金体系です。たとえば、月額で基本料金を支払い、採用が決定した場合に追加で成功報酬を支払う形です。このタイプは、固定費を抑えつつ、成果に応じて費用を調整したい企業に向いています。採用活動の状況に応じて柔軟に対応できる点が特徴です。

採用代行が適している企業・適さない企業

採用代行は、企業の採用活動を効率化する有効な手段ですが、すべての企業や職種に適しているわけではありません。ここでは、採用代行の導入が特に向いているケースと、そうでないケースについて解説します。

向いているケース

向いていないケース

採用代行を選ぶときの4つの判断基準

1. 実績・専門分野を確認する

まず、そのサービスがどのような業界や職種に強みを持っているかを確認しましょう。特定の業界や職種に特化したサービスは、その分野の採用ノウハウや候補者ネットワークを豊富に持っています。過去の採用実績や、同業他社の事例を参考にすることで、自社のニーズに合致しているかを見極められます。

2. サービス範囲と柔軟性を比較する

どこまで業務を依頼したいのか、自社のニーズを明確にしましょう。全プロセスを任せたいのか、それとも一部の業務（書類選考、面接調整など）だけを依頼したいのか。多くのサービスは、企業の状況に合わせて柔軟なプランを提供しています。自社の採用体制やリソースを正確に把握し、最適なサービス範囲を選ぶことが重要です。

3. 費用対効果を見極める

料金体系と費用相場を比較し、自社の予算に合ったサービスを選びましょう。単に価格が安いだけでなく、コストに見合ったサービスが受けられるか、費用対効果を見極めることが大切です。サービスによっては、初期費用やオプション費用が発生する場合もあるため、事前に総額を確認しておきましょう。

4. 自社の採用方針との相性を確認する

採用代行は、企業の「顔」となって候補者と接する重要なパートナーです。そのため、自社の採用方針や文化を理解し、同じ方向を向いてくれるサービスを選ぶことが不可欠です。サービス提供会社の担当者と密にコミュニケーションを取り、信頼関係を築けるかどうかも重要なポイントとなります。

目的別｜おすすめの採用代行サービス8選

ここまでで、採用代行サービスがどのようなものか、そして自社にフィットするかどうかが見えてきたかと思います。しかし、実際に数あるサービスの中からどれを選べば良いか迷ってしまう方も多いでしょう。

採用代行サービスを選ぶ際は、自社の課題に合わせて以下のような目的別に選択することが効果的です。

• 採用業務を包括的に任せたい
• 部分的な業務のみ依頼したい
• ダイレクトリクルーティングに力を入れたい
• 特定職種の採用を成功させたい

それぞれの強みに合わせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

1. 採用業務を包括的に任せたい企業向け

1-1. ネオキャリア

全国に広がるネットワークと大手人材会社ならではのノウハウを活かし、採用活動全体をトータルで支援。採用戦略の立案から運用まで一貫して任せたい企業に適しています。
参考：https://www.neo-career.co.jp/

1-2. uloqo

専門コンサルタントが企業の採用課題を深く分析し、最適な採用戦略を提案。求人票の作成からスカウト運用、応募者対応まで、高品質なサービスで採用成功に導きます。
参考：https://uloqo.net/

2. 部分的な業務のみ依頼したい企業向け

2-1. CORNER

必要な業務だけをスポットで依頼できる、柔軟なサービスが特徴。特に、ダイレクトリクルーティングやスカウト業務に強みを持ち、特定業務の効率化を図りたい企業に最適です。
参考：https://www.corner-inc.co.jp/

2-2. CASTER BIZ recruiting

オンラインアシスタント「Caster BIZ」が提供する採用代行サービス。専任の採用アシスタントが、面接調整や求人票の更新など、日々発生する事務作業を代行します。
参考：https://recruiting.cast-er.com/

3. ダイレクトリクルーティングに強いサービス

3-1. PRO SCOUT

ダイレクトリクルーティングに特化したサービスで、企業の代わりにスカウトメールの作成・送付、返信対応までを一括で代行します。質の高い候補者との接点を増やしたい企業におすすめです。
参考：https://vollect.net/proscout_lp/

3-2. core scout

IT・Web業界に特化しており、専門性の高いスカウト運用が強み。独自のデータベースとノウハウを活かし、潜在層へのアプローチから採用までをサポートします。
参考：https://core-scout.com/

4. エンジニア採用など特定職種に強いサービス

4-1. TECH HIRE

エンジニア採用に特化した採用代行サービスです。専門知識を持った担当者が、技術的な要件を深く理解したうえで、効果的な採用活動を支援します。
参考：https://techhire.trackrecords.co.jp/

4-2. 即戦力RPO

IT・Web業界の即戦力人材に特化しており、特にエンジニアやデザイナー、マーケターなどの採用に強みを持っています。専門性が高く、難易度の高い採用課題を解決したい企業におすすめです。
参考：https://saiyo.migi-nanameue.co.jp/

導入から運用までの流れ5ステップ

ここでは、一般的な採用代行サービスの導入から運用までの流れを5つのステップに分けて具体的に解説します。この流れを理解することで、サービス導入後のミスマッチを防ぎ、スムーズな運用につなげることができます。

1. 事前ヒアリングと要件定義

まず、現状の採用課題や求める人材像、採用目標などについて、サービス提供会社と綿密なヒアリングを行います。この段階で、任せる業務範囲や目標を明確にすることで、その後のミスマッチを防ぎます。

2. 採用計画と戦略設計

ヒアリング内容に基づき、サービス提供会社が最適な採用計画と戦略を策定します。どの媒体を使用するか、どのようなメッセージで候補者にアプローチするかなど、具体的なアクションプランが提示されます。

3. 運用開始（求人・応募者対応）

計画に基づき、実際の採用活動がスタートします。求人票の掲載から応募者への連絡、面接日程の調整など、委託した業務が代行されます。この段階では、定期的に進捗報告を受け、状況を共有することが重要です。

4. レポート・改善提案

運用期間中、応募数や通過率などのデータが定期的にレポートとして提供されます。これにより、採用活動の状況を客観的に把握できます。また、データに基づいた改善提案を受けることで、次の採用活動に活かすことができます。

5. 内製化・長期運用のステップ

採用活動が成功し、内製化を目指す場合、サービス提供会社から運用のノウハウを共有してもらうことも可能です。逆に、長期的なパートナーとして継続的に依頼することで、安定した採用体制を構築することもできます。

採用代行を成功に導く3つの実践ポイント

1. 丸投げではなく情報共有を徹底する

採用代行は、あくまであなたの採用活動を支援する「パートナー」です。丸投げするのではなく、密な情報共有を心がけましょう。現場の声や企業文化、求める人物像の変化など、最新の情報を常に提供することで、より質の高い採用活動が実現します。

2. 自社の採用基準を明確にする

サービスの担当者が、最適な候補者を見つけるためには、自社の採用基準が明確であることが不可欠です。スキル要件だけでなく、カルチャーフィットや仕事への価値観など、定性的な基準も共有しましょう。これにより、ミスマッチを最小限に抑えられます。

3. 効果検証と改善を繰り返す

導入して終わりではなく、定期的に効果検証を行いましょう。応募数や採用単価、入社後の定着率など、さまざまな指標を分析し、改善を繰り返すことで、採用代行の費用対効果を最大化できます。このPDCAサイクルを回すことが、採用活動全体の成功につながります。

まとめ

本記事では、採用代行サービスについて、その定義から他サービスとの違い、具体的な業務内容、料金体系、そして選び方のポイントまで、網羅的に解説しました。採用代行は、単なる業務の代行ではなく、採用ノウハウや専門知識を活用して、企業の採用力そのものを向上させる強力な手段です。

もしあなたが採用活動に行き詰まりを感じているなら、採用代行サービスがその突破口となるかもしれません。

よくある質問（FAQ）

Q1. 採用代行と人材紹介はどちらを使うべき？

目的によって使い分けましょう。採用活動の業務負担を軽減し、採用プロセスの効率化を目指すなら「採用代行」が適しています。一方、特定のスキルを持つ人材をピンポイントで紹介してほしい、採用が決定するまで費用をかけたくない場合は「人材紹介」が有効です。

Q2. 採用代行に任せられる範囲は？

サービスによって異なりますが、求人票作成、応募者対応、面接調整、スカウト代行、書類選考、一次面接代行など、採用活動の一連の業務を幅広く任せることができます。自社のニーズに合わせて、部分的な依頼も可能です。

Q3. 費用相場はどれくらい？

料金体系は主に「成果報酬型」と「月額固定型」があり、相場は依頼する業務範囲やサービス内容によって大きく変動します。月額固定型の場合、一般的に月10万円から50万円程度が相場となります。

Q4. 自社に向いているか判断するポイントは？

採用担当者の業務が逼迫している、採用ノウハウが社内にない、短期間で大量に採用する必要があるといった課題を抱えている場合は、採用代行が向いています。逆に、企業文化への深い理解が必須となる職種や、特殊な専門スキルが求められる職種では、自社主導の採用活動が適している場合があります。