今すぐ使える研修資料の作り方|8つのコツとチェックポイントを解説
2025年7月25日更新

社内研修の成果を左右するのは、講師のスキルや受講者のモチベーションだけではありません。実は「研修資料」のクオリティが、理解度や定着率に大きく影響します。しかし、「何をどう書けばよいのか分からない」「資料が伝わっているか不安」という声も少なくありません。
本記事では、研修資料の作成ステップや構成、デザインのポイントをはじめ、用途に応じた4つの資料形式やチェックリストまでを網羅的に解説します。研修担当者や人事・教育部門の方に向けて、明日から実践できるノウハウをお届けします。
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わかりやすい研修資料が必要な5つの理由
社員教育や研修は、企業の成長と人材育成において欠かせない取り組みです。その中でも「わかりやすい研修資料」は、研修の成果を左右する非常に重要な要素です。なぜそれほどまでに、資料のわかりやすさが求められるのでしょうか。その理由を掘り下げて解説します。
1. 情報の定着を促進するため
社員研修における最大の目的は、受講者に新しい知識やスキルを理解させ、それを実務に応用できる状態にすることです。そのためには、講師の話術やトークスキルだけでなく、資料そのものが理解を助ける構造になっている必要があります。
たとえば、文字だらけの資料では話の流れが追いにくく、理解しづらいだけでなく、復習にも活用しにくくなります。一方で、ポイントごとに整理された見出し、図解やチャート、アイコンなどの視覚要素が取り入れられた資料は、視覚からも理解を助け、記憶の定着に効果的です。また、資料の視認性が高ければ、講義中のノートを取る時間も減り、聞くことに集中できるというメリットもあります。
つまり、わかりやすい資料は「理解を助ける」だけでなく、「集中力を保つ」「記憶に残る」といった複数の学習効果を同時に支えているのです。
2. 受講者の集中力を維持するため
研修時間は通常1〜2時間、長いものでは半日から終日というケースもあります。その中で受講者の集中力を保つには、資料の構成やデザインが大きな役割を果たします。たとえば、1ページに複数の情報が詰め込まれたスライドは、読むことに神経を使い、聞く内容が頭に入ってこないという弊害を生みます。これは、受講者が情報の消化ではなく処理に追われている状態といえるでしょう。
集中力を維持するには、1スライド1メッセージの原則に沿った情報整理、読みやすい文字サイズ、余白の取り方、色の使い方など、視覚的負荷を減らす工夫が欠かせません。さらに、スライド全体の流れに緩急をつけ、受講者の注意を引き直す「間」を意識することも効果的です。視覚的な快適さは、研修への前向きな姿勢にも直結します。
3. 情報を「伝える」から「伝わる」に変えるため
講師がどれだけ丁寧に話しても、資料がわかりにくければその理解は不十分に終わる可能性があります。特に、オンライン研修やオンデマンド型の研修では、講師の補足説明や質疑応答が制限されるため、資料の「伝わる力」がそのまま研修の質を左右します。
ここで求められるのは、読むだけで意図が明確に伝わる構成、受講者が疑問を感じたタイミングで答えが得られるような論理的な順序です。また、章の区切りや項目ごとの導入文を入れることで、受講者は常に「今、何を学んでいるのか」「次に何が来るのか」を意識しながら理解を進めることができます。
このように、資料が受講者の「思考の流れ」に寄り添って設計されていることが、「伝える」を超えて「伝わる」資料へと昇華させる鍵になるのです。
4. 企業姿勢を表現するため
研修資料は単なる業務ツールではなく、企業が社員に何をどう伝えたいと考えているかを象徴するメッセージツールでもあります。粗雑なレイアウト、文法ミス、設計意図の見えない内容は、研修担当者だけでなく企業全体の教育姿勢そのものに対して疑問を抱かせる要因になりかねません。
逆に、わかりやすく丁寧に作られた資料は、「社員一人ひとりの成長を大切にしている」というメッセージを受講者に強く印象づけます。
これは結果として、受講者のエンゲージメントを高め、自ら学びに向かう姿勢を育む土壌となります。資料の品質は見えない「教育文化」を象徴し、受講者の受け取り方を大きく左右する存在なのです。
5. ナレッジ共有の基盤として活用するため
質の高い研修資料は、一度限りのコンテンツではなく、マニュアルや業務手順書、後輩指導資料、他部署への展開教材としても活用できます。こうした再利用性の高さは、属人化を防ぎ、教育の標準化や工数削減にも寄与します。たとえば、OJTで指導者が毎回ゼロから説明するのではなく、分かりやすい資料があれば、その内容を軸に補足や実践を加えるだけで済むため、研修効率が大幅に向上します。
また、組織内で「良い資料を残す文化」が根づけば、暗黙知を形式知に変換し、企業全体のナレッジ資産が蓄積されていきます。このように、わかりやすい資料は研修用にとどまらず、企業の知的基盤づくりにも貢献するのです。
研修資料のクオリティが社員教育に与える影響とは
研修を通じて「人を育てる」ことは、企業の競争力を高めるうえで欠かせない取り組みです。その中で、研修資料のクオリティは往々にして軽視されがちですが、実は社員教育の効果に対して極めて大きな影響力を持っています。
まず直接的な影響として、理解度と記憶定着の差が挙げられます。整理された資料は論点が明確で、情報が頭に入りやすくなります。逆に、論理構成が曖昧で視認性の低い資料では、学ぶべきポイントがぼやけてしまい、受講後に何を理解し、どのように行動すればよいのかが不明確になってしまいます。結果として、せっかく時間とコストをかけた研修が「やっただけ」で終わってしまい、実務に反映されないまま忘れ去られてしまうリスクが高まります。
次に、受講者のモチベーションや態度にも影響を与えます。クオリティの高い資料は、それ自体が「プロフェッショナルな教育の場」であることを印象付け、受講者に主体的な姿勢を促します。反対に、誤字脱字が多く、使い回し感の強い資料を渡された場合、「この研修は本気で取り組む価値があるのか?」と感じてしまい、消極的な受講姿勢につながりかねません。資料は教育コンテンツであると同時に、研修の空気感や企業の姿勢を示すメッセージでもあるのです。
また、研修後のフォローアップにおいても資料の質は重要な役割を果たします。受講者は実務に戻った後、業務の中で研修内容を再確認したくなる場面に何度も直面します。その際に「何が書いてあるかよく分からない資料」では自己解決ができず、再教育や都度の質問対応が必要となり、教育コストが増加します。一方、誰が読んでも理解できる資料があれば、自律的な学習が可能となり、教育の自走化につながるのです。
特にBtoB業界では、法律・コンプライアンス、製品知識、プロジェクト管理手法など、正確性が求められる領域の研修が多く実施されます。こうした内容では「誤解を生む余地のない明瞭な伝達」が求められます。資料のクオリティが低いと、受講者の理解にばらつきが生じ、業務上の判断ミスやトラブルの原因になりかねません。つまり、教育の成果が企業活動全体のリスクマネジメントにも関わってくるのです。
このように、研修資料のクオリティは単に「見た目が整っているかどうか」ではなく、理解促進・モチベーション・業務適用・教育効率・リスク管理といった多方面に影響を与える基盤要素です。だからこそ、資料作成には細心の注意を払い、「誰が見ても、何度見ても、理解しやすい」ものを目指すべきなのです。
研修資料作成の4つのステップ
研修資料は、単なる「補足資料」ではなく、学習の流れを形作り、受講者の理解や行動変容を支える中核的な存在です。そのため、行き当たりばったりで作成するのではなく、段階的なプロセスを意識して計画的に進めることが重要です。ここでは、誰でも再現可能な「研修資料作成の4ステップ」を紹介します。
1. 目的・テーマ設定
研修資料の作成に取り掛かる際、最初に行うべきなのが「目的とテーマの明確化」です。これがあいまいなまま作業を始めてしまうと、伝えるべき内容がぶれてしまい、結果として「何を学ぶ研修だったのか分からない」資料ができあがってしまいます。目的とテーマは、研修全体の軸となるものであり、設計・構成・表現すべての判断基準になります。
たとえば、新入社員向けに作成する資料であれば、「企業理念の理解」と「基本的なビジネスマナーの習得」という2つの目的を設定することが考えられます。一方、営業チーム向けであれば、「提案力の強化」や「顧客との信頼構築のためのトーク設計の習得」が目的になり得ます。このように、対象者の属性や現在のスキルレベル、現場の課題を踏まえて目的を定義することで、資料に含めるべき内容の優先順位も明確になります。
また、目的に加えて「受講後の理想状態」もイメージしておくと、より効果的な資料設計が可能です。たとえば「受講後に◯◯のワークを自走できるようになっている」「上司の前で新しい営業トークを実践できる」など、行動変容レベルでのゴールを描くことができれば、必要な知識・スキル・思考整理の順序も見えてきます。
さらに、「主催者側の目的」と「受講者側の期待」のギャップにも注意が必要です。企業側が伝えたいことと、受講者が知りたいことがズレている場合、どれだけ内容が整理されていても満足度の低い研修になってしまいます。初期段階で、受講者インタビューや簡易アンケートを実施し、現場感覚を拾い上げることは、資料の内容を現実的かつ実践的なものにするうえで非常に有効です。
このように、研修資料の目的・テーマ設定は、資料全体の設計思想を決める起点であり、ここを丁寧に設計するかどうかで資料の質が大きく左右されます。単なるスライド制作ではなく、「伝えたいこと」ではなく「伝わるための設計」を意識した出発点が重要です。
2. 構成作成
目的とテーマが定まったら、次に行うべきは「構成作成」です。この工程では、どのような順番で情報を提示すれば受講者の理解がスムーズに進むのかを論理的に組み立てていきます。
構成とは、言い換えれば「ストーリーボード」の設計です。映画やドラマに台本があるように、研修資料にも受講者の思考の流れをデザインした脚本が必要です。ここで重要なのは、「情報の羅列」ではなく「気づきと納得を生む流れ」を構築することです。
たとえば、いきなり「自社のセールスプロセスの詳細」に入るのではなく、まず「営業活動でよくある失敗例」や「なぜ提案が刺さらないのか」という共感パートから始めた方が、受講者の興味や納得感を引き出しやすくなります。こうした「導入部→問題提起→解決策→実践例→まとめ」といった基本構成は、資料の分かりやすさだけでなく、行動変容につなげるうえでも非常に有効です。
また構成作成の際は、「1ページ1メッセージ」の原則も意識しましょう。1枚のスライドに複数の話題が混在していると、情報の焦点がぼやけてしまい、受講者は何を覚えるべきか分からなくなってしまいます。構成段階で各スライドの役割を明確にし、それぞれに「何を伝えるか」のメッセージを割り当てていくと、後の資料作成がスムーズになります。
さらに、「振り返りポイント」や「問いかけ」など、受講者が一方向的に情報を受け取るだけでなく、自ら思考を巡らせるような仕掛けを構成に織り込むことで、理解の深度を大きく高めることができます。これは特に、スキル型・行動変容型の研修において有効です。
最後に、構成は「一度決めたら終わり」ではありません。仮構成を作成した段階で、同僚や講師とのレビューを行い、伝わりやすさや論理性に対するフィードバックを得ることが重要です。構成の精度は、資料全体の完成度に直結します。ですので、構成作成は単なる前工程ではなく、資料の成否を握る最重要フェーズの一つと位置付けましょう。
3. 資料作成
構成が固まったら、いよいよ研修資料そのものの作成フェーズに入ります。この工程は、受講者にとって最も直接的に影響を与える段階であり、「どんなに良い構成でも、見にくい資料では伝わらない」という事実を改めて意識すべきです。
資料作成の第一歩は、ビジュアルの設計です。PowerPointやGoogleスライドを使ってスライドを作る場合、まずテンプレートを整えることが重要です。会社のブランドガイドラインがある場合は、ロゴ・カラー・フォント・余白設定などを反映し、ブランディングの一貫性を保ちます。ブランド統一は外向けだけでなく、社内の資料であっても受講者に「整った組織文化」の印象を与える効果があります。
次に重要なのが、「視覚的に情報を整理する力」です。テキストをただ並べるのではなく、見出しと本文の階層を明確にし、強調すべきポイントは太字やカラーで目立たせます。また、図表・アイコン・イラストなどを適切に挿入することで、視覚からの理解が深まり、抽象的な概念も具体的にイメージしやすくなります。たとえば、PDCAサイクルの概念を言葉だけで説明するよりも、円形の図で各ステップを表現するほうが直感的な理解を促します。
また、制作者側が伝えたいことを詰め込みすぎた結果、受講者にとっては情報過多になってしまい、理解も行動も進まなくなるケースがあります。受講者の立場に立って、「この情報は今、必要か?」という視点で取捨選択することも重要です。
このように、資料作成フェーズでは、情報を「どう伝えるか」の工夫が求められます。内容の精度と視覚的なデザインを両立させることで、受講者の理解・記憶・行動へのつながりが格段に高まるのです。
4. 見直し
資料作成が一通り完了したら、最後に必要なのが「見直し」の工程です。このステップをおろそかにすると、小さなミスが信頼性を損ない、せっかくの研修全体の印象が損なわれかねません。見直しは単なる誤字脱字チェックではなく、「伝わる資料」になっているかどうかを多角的に検証する重要フェーズです。
まず行いたいのが、内容の整合性チェックです。構成段階で組み立てた論理的な流れが、実際の資料にも反映されているかを確認します。スライドが飛躍していないか、前提知識の説明が抜けていないか、導入からまとめまでが自然につながっているかを見直しましょう。スライド番号や目次の表示、アジェンダと本編内容の一致なども確認すべきポイントです。
次に、誤字脱字・表記揺れのチェックを行います。これには、時間をおいて改めて見る、他の人にレビューしてもらう、AIの文書校正ツールを使うなどの方法が有効です。受講者は資料の細部からも無意識に印象を受け取るため、細かな表記の乱れでも「雑な印象」につながることを意識しましょう。
また、受講者の理解を支援する工夫が含まれているかどうかも見直しポイントです。たとえば、難解な用語には注釈を入れているか、ワークや問いかけなど参加型要素が盛り込まれているか、実務に活かすための「気づき」が促される構成になっているかを確認しましょう。
さらに、講師や進行が資料を使って進行しやすいかも重要な観点です。話す順番がスライドの順序に沿っているか、補足説明が必要なスライドにはメモ欄やスピーカーノートが設けられているかを点検しておくと、実施時の円滑な運用につながります。
このように見直し工程では、「正しさ」「見やすさ」「伝わりやすさ」「使いやすさ」の4つの観点をもとに、資料全体を客観的に評価していくことが求められます。作って終わりではなく、「届く資料」に仕上げる最後の仕上げとして、時間をかけて丁寧にチェックを行いましょう。
研修資料作成時の8つのポイント
研修資料は、ただ情報をまとめただけでは受講者にとって本当の意味で「伝わる」ツールにはなりません。受講者の集中力や理解力を高め、学びを行動につなげるためには、細部にまで配慮された設計が求められます。
ここでは、資料作成時に押さえておきたい8つのデザイン・構成上のポイントを順に紹介していきます。
1. 目次やページ数を記載する
研修資料における「目次」や「ページ番号」の記載は、受講者にとってのナビゲーション機能を果たす非常に重要な要素です。特に複数の章やセクションにまたがる資料では、全体の構成を俯瞰できる目次があるかどうかで、学習効率に大きな差が生まれます。
目次の記載により、受講者は今どの位置の話をしているのかを把握しやすくなり、集中力の維持につながります。また、「◯ページのスライドに戻って復習したい」といったニーズにも対応できるため、復習性・再利用性の高い資料になります。これは特にオンライン研修や自習型のeラーニングコンテンツで有効です。
ページ数の記載も、講師と受講者のコミュニケーションを円滑にする助けとなります。たとえば「○ページの図を見てください」といった指示が明確に通じるため、説明のスムーズさが格段に向上します。また、途中参加者や遅れてきた受講者が追いつきやすくなる効果もあります。
さらに、資料のボリューム感を事前に伝えることで、受講者にとっての心理的負担を軽減する効果もあります。たとえば、事前配布の資料が「全55ページ」とわかっていれば、受講者は自分なりのペース配分をイメージできます。
講師や教育担当者にとっても、目次とページ番号は進行管理や修正作業の効率化に大きく寄与します。構成の変更時やフィードバックの修正依頼時に、具体的なページを指定できるため、やり取りがスムーズになります。
このように、目次やページ番号の記載は受講者・講師・制作者すべてにとってメリットが大きく、資料の使いやすさを一段階引き上げてくれる機能です。「読みやすさ」と「伝わりやすさ」を両立するための第一歩として、必ず意識したいポイントです。
2. フォントを統一する
フォントは、資料の印象を大きく左右する要素の一つです。資料全体で使用するフォントが統一されているかどうかは、視認性の良さや読みやすさだけでなく、資料に対する「信頼感」にも影響を及ぼします。バラバラのフォントが使われていると、それだけで「雑に作られている印象」を与えかねません。
まず基本として、本文と見出しで異なるフォントを使う場合でも、その組み合わせは2種類程度に抑えるのが理想です。フォントが多すぎると、視線の動きが不規則になり、読み手に不要な認知負荷を与えてしまいます。
また、読みやすさという点でいえば、明朝体よりもゴシック体の方が研修資料には適しています。特にスクリーン投影やオンライン表示では、太さが均一なゴシック体のほうが視認性に優れ、距離のあるディスプレイでも読みやすい傾向があります。
もう一つのポイントは、文字サイズの一貫性です。見出し、小見出し、本文、脚注などの文字サイズルールを資料全体で統一することで、構造的な理解がしやすくなります。加えて、フォントカラーにも一貫性を持たせることで、見出しと本文の関係性や階層が直感的に把握しやすくなります。
たとえば、重要ポイントは必ず太字+オレンジ、補足情報はグレーなど、色と書体をセットでルール化しておくと、視覚的なストレスを感じにくくなり、読み手は内容の理解に集中できます。
フォントの統一は一見地味なポイントに見えますが、研修資料の「完成度の高さ」を感じさせる要素の一つです。文字情報を伝える以上、書体は無視できない設計要素であり、資料の質を裏付ける基礎として丁寧に整えていきましょう。
3. 使用するカラーは3色に絞る
カラーの使い方は、視覚的な伝達力を高めるうえで非常に効果的ですが、同時に注意が必要な要素でもあります。多くの色を使いすぎると、かえって焦点がぼやけてしまい、「どこを見ればいいのか分からない」といった状況を生む原因になります。そこで推奨されるのが、「使用するカラーは3色以内に抑える」というルールです。
この3色とは、基本色・強調色・補助色を指すケースが多く、たとえば「ネイビー(基本色)」「オレンジ(強調色)」「グレー(補助色)」というような組み合わせが代表的です。基本色は全体のトーンを決める役割を果たし、強調色は重要な情報やキーワードを際立たせるために用います。そして補助色は、背景や補足情報、図表の補足的な要素として活用します。
色の選定にあたっては、コントラストにも注意が必要です。特にプロジェクター投影やオンライン会議では、背景色と文字色のコントラストが弱いと非常に見づらくなります。明度・彩度の差を意識して、はっきりとした視認性が確保できる組み合わせを選ぶようにしましょう。
また、ブランドカラーとの整合性も重要です。自社のブランドガイドラインに則った色使いを心がけることで、資料全体のトーンが統一され、他の資料やパンフレット、Webサイトとの整合性も取りやすくなります。これは受講者に対して「一貫したメッセージ発信」ができているという印象を与え、企業全体の信頼感にもつながります。
このように、「カラーは3色までに絞る」というシンプルなルールは、資料全体の整理感と視認性を高め、伝達効率を飛躍的に向上させるための基本です。デザインに自信がない人でも、この原則を守るだけで、資料の印象がぐっと洗練されて見えるようになります。
4. 余白を作る
資料作成において、「どれだけ多くの情報を詰め込めるか」を重視しすぎるのは注意が必要です。特に研修資料では、「いかに見やすく、わかりやすく情報を伝えるか」が重要であり、そのためにはあえて「余白」を作る設計が不可欠です。余白とは単なる「空白スペース」ではなく、情報の意味を明確にし、読み手の理解を助ける「視覚的な呼吸空間」です。
まず、余白があることで、視線の流れが自然になります。詰め込みすぎたスライドは、情報の優先度が視覚的に伝わらず、どこから読めばいいか迷ってしまいます。適切な間隔や余白を設けることで、読み手の目線をスムーズに誘導でき、結果としてストレスなく情報を受け取ってもらえるようになります。これは、集中力を維持するうえでも非常に効果的です。
また、余白には「情報の重要度をコントロールする」機能もあります。たとえば、見出しやキーメッセージの周囲にしっかりと余白を設けることで、それらが視覚的に浮き上がり、読み手に「ここが大事だ」と無意識に認識させることができます。逆に、すべてが等間隔・同じ密度で配置されていると、重要な情報と補足情報の区別がつきにくくなります。
さらに、視認性の面から見ても余白は重要です。オンライン研修やモバイル端末で資料を閲覧する場合、情報が画面いっぱいに詰め込まれていると、読みづらさが一気に増します。行間・段落間の余白、スライド端とコンテンツとの間に適切なスペースを確保することで、視線の負担が減り、情報の読み取りが格段にしやすくなります。
このように、余白は「何もないスペース」ではなく、「情報を伝えるために欠かせない設計要素」であり、視覚的な整理、重要度の強調、読みやすさ、印象の向上といった複数の面で効果を発揮します。
5. オブジェクトの位置を揃える
図形やテキストボックスの位置をきちんと揃えることは、資料全体の印象と読みやすさに直結します。特にPowerPointやGoogleスライドを使って作成された資料では、各要素の配置がズレているだけで、見る側は違和感を覚え、資料への信頼度が下がることさえあります。
オブジェクトのズレは、無意識のうちに受講者の集中力をそぎます。人の目は、わずかなバランスの乱れでも直感的に「違和感」を覚えるようにできており、それが繰り返されると、視線が泳ぎ、資料の内容に集中できなくなってしまうのです。これは特に、整然とした情報整理が求められるビジネス文書において致命的な欠点となり得ます。
オブジェクトの整列には、スライド作成ツールの「配置」機能や「ガイド」「グリッド線」を活用するのが有効です。テキストボックスや画像、図形などの位置を中央揃え、左揃え、上下揃えなど一貫して整えることで、見た目の洗練度が大きく向上します。また、同じ種類のオブジェクトは同じ高さ・幅に統一すると、さらに安定した印象になります。
特に、表やフローチャート、ステップ解説などを用いる場合は、それぞれのパーツ間の「間隔」や「位置」が整っていることが極めて重要です。たとえば、「ステップ1〜4」の図が微妙にずれていたり、大きさがまちまちだったりすると、それだけで理解の妨げになります。「整った情報は整った理解を生む」という視点で、視覚面の整列にも意識を向けましょう。
また、整列されたレイアウトは「資料の作り手が丁寧に取り組んでいる」という印象を与えるため、受講者の信頼感にもつながります。内容が同じであっても、見た目に一貫性があるかどうかで、受け取る印象は大きく異なるのです。
このように、「位置を揃える」という一見単純な作業も、資料全体の質を支える重要なデザイン原則です。研修資料の価値を最大限に引き出すためには、細部の整え方にまで気を配る姿勢が求められます。
6. 1ページ1メッセージに絞る
研修資料を作成するうえで、もっとも伝達効率が高まる原則の一つが「1ページ1メッセージ」です。このルールは、1枚のスライドに複数の要素を詰め込むのではなく、「このページでは何を伝えたいのか」を明確にし、一つの核となるメッセージに集中させるという考え方です。
人間のワーキングメモリ(短期的な記憶処理能力)には限界があり、一度に多くの情報を与えられると、かえって理解が分散し、印象に残りにくくなります。1ページに複数のトピックがあると、受講者は「何が重要なのか」「どこから読み解けばよいのか」がわからず、結果として情報の定着が弱くなります。
一方、「このスライドでは◯◯だけを伝える」と意識して構成された資料は、受講者の注意が一点に集まりやすく、印象に残りやすくなります。たとえば、「PDCAの全体像」と「P(Plan)の詳解」を同じスライドに入れるのではなく、まずは「PDCA全体像の俯瞰」、次に「各ステップの詳細」というようにページを分けることで、情報の理解が段階的かつ体系的になります。
また、1ページ1メッセージを徹底することで、講師側の説明もシンプルになります。「このページではAだけ話す」「次はBに移る」という進行が明確になり、話の軸がぶれにくくなるため、受講者との認識のズレが起きにくくなります。質問があった場合の対応もしやすくなるというメリットもあります。
さらに、資料の視覚的なインパクトも増します。余白をしっかり確保しながら大きなフォントやアイコンでメッセージを伝えることで、印象に残るスライドを作ることができます。これはプレゼン資料だけでなく、配布資料として読み返されたときにも「理解しやすい構成」として評価されるでしょう。
このように、「1ページ1メッセージ」は受講者・講師・資料制作者すべてにとってメリットの大きいルールです。あえて「絞る」姿勢が、効果的な研修資料を生み出す鍵となります。
7. レイアウトを統一する
研修資料のわかりやすさ・印象の良さを大きく左右する要素の一つが、「レイアウトの統一」です。レイアウトとは、スライド上のテキストや図、見出し、装飾などの配置ルールを意味し、これが統一されているかどうかで、資料全体の整然さや読みやすさが大きく変わってきます。情報量やデザイン性だけでなく、構造の一貫性こそが、資料の品質を裏付ける基盤となるのです。
まず、レイアウトを統一することによって、受講者が「読み方のパターン」を早期に習得できます。各ページのタイトル位置、本文のフォントサイズや段落間隔、図表や注釈の位置などが固定されていると、読者は無意識のうちに視線の流れを掴みやすくなり、内容の理解スピードが向上します。逆に、スライドごとに構成が異なれば、そのたびに情報の読み取り方を調整する必要があり、思考の妨げになる場合があります。
また、レイアウトの一貫性は、資料の「信頼性」にも直結します。どれほど内容が優れていても、ページごとに構成や装飾がバラバラであれば、「この資料は急ごしらえなのでは?」「整理されていない」といった印象を与えてしまいます。ビジネスの現場、とりわけ研修のような「学び」を重視する場では、こうした見た目の整合性が、受講者の学習意欲や集中力に影響を及ぼします。
レイアウト統一のためには、テンプレートの活用が効果的です。PowerPointやGoogleスライドにはレイアウトテンプレートやマスタースライド機能が用意されており、見出しのスタイル、本文のフォントサイズ、フッターやページ番号の位置などを一括で管理できます。これらを活用すれば、スライドを追加するたびに手動で位置を調整する手間が省け、見た目のばらつきも防止できます。
さらに、レイアウトの統一は講師側の「進行ミス防止」にも役立ちます。ページごとの構成が揃っていれば、スライドの抜け漏れに気づきやすくなり、資料の見返しや差し替えもスムーズに行えます。また、複数人で研修を担当する場合も、統一されたフォーマットがあることで、説明のばらつきや認識のズレを防げます。
このように、レイアウトの統一は「見栄え」のためだけでなく、情報の伝達精度、受講者体験、講師の進行効率といった多面的な価値を高める基盤です。細部のルールを明文化し、チーム全体で共有することで、誰が資料を作っても一定の品質を保てる体制を整えることができるでしょう。
8. 図やグラフを活用する
研修資料において、図やグラフは単なる「飾り」ではなく、受講者の理解を深め、情報の定着を助ける「視覚的な論理装置」として重要な役割を果たします。特に複雑な概念や数値データを扱う場面では、文字だけの説明よりも図解による補足があることで、情報の把握が格段に早く、正確になります。
まず、図は「構造的な理解」を促すうえで有効です。たとえば、業務フローやプロジェクトの進行ステップ、組織の関係性など、関係性や因果関係を伴う情報を伝える際には、フローチャートやマトリクス図、ピラミッド図などを用いることで、情報の流れや全体像が直感的に伝わります。これは「まず全体を把握したい」と考える受講者のニーズに応える形で、理解の出発点を与える役割も果たします。
一方、グラフは「定量的な理解」を支える道具です。数字をテキストで並べるだけでは、相対関係や傾向が把握しづらいものですが、棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフなどを活用することで、変化の幅や構成比率、推移が一目で伝わるようになります。研修内容に統計データやKPIが含まれる場合は、特にグラフによる可視化が効果的です。
また、図やグラフには「記憶への定着」を助けるという効果もあります。心理学的にも、視覚と連動した記憶のほうが長期的に保持されやすいことが分かっており、インパクトのあるビジュアル情報は、受講後の行動変容や再活用の場面でも思い出されやすくなります。
図解を活用する際に注意したいのは、「簡潔さ」と「意味の明確さ」です。情報を詰め込みすぎた図や、説明がなければ解釈できないグラフは、逆に混乱を招く恐れがあります。たとえば凡例の不備、文字が小さすぎるラベル、装飾過多なデザインなどは、視覚的ノイズとなり理解を妨げます。
また、「図やグラフに対する補足説明」をスライド内に設ける工夫も重要です。図表単体では理解が難しい場合も、注釈や吹き出し、説明文があることで、受講者の解釈が的確な方向に導かれます。特にオンライン研修では、対面のように逐次フォローができない場面もあるため、視覚要素と説明のバランスをとる設計が求められます。
このように、図やグラフの活用は、単なる補助的役割を超え、理解促進、記憶定着、納得形成、受講者満足度向上など、多方面に影響する不可欠な要素です。情報が複雑になればなるほど、「伝える」より「伝わる」を重視した視覚設計が、研修成果を大きく左右します。
研修資料の7つの構成要素
研修資料を効果的に作成するためには、内容だけでなく「構成」にもこだわる必要があります。どれだけ質の高い情報を盛り込んでも、それが受講者に正しく、効率よく伝わらなければ意味がありません。
構成とは、情報の並び順や章立ての設計そのものであり、資料全体の「ストーリー」を組み立てる役割を果たします。ここでは、研修資料を構成するべき7つの要素を紹介します。
1. 表紙・タイトル
研修資料の第一印象を決定づけるのが、「表紙」と「タイトル」です。表紙は、受講者が最初に目にするスライドであり、タイトルはその資料全体の「顔」となる存在です。この第一印象が、受講者の集中力や関心度、ひいては学習効果にまで影響を与えることは想像以上に大きいものです。
まず、表紙には必要最低限の情報を簡潔にまとめるのが基本です。具体的には、研修タイトル、実施日、対象者、講師名や主催部署などを記載します。これにより、資料の信頼性と実用性が高まり、後で資料を見返した際にも「これはいつ、どの研修で使用したものか」がすぐに判別できます。
タイトルの付け方にも工夫が必要です。たとえば、「営業基礎研修」とだけ記載するよりも、「営業基礎研修 〜顧客信頼を勝ち取る提案力を学ぶ〜」のように、副題を添えて研修の目的や価値を示すことで、受講者の興味を引きやすくなります。タイトルには、内容を端的に伝える情報性と、参加者の意欲を引き出すキャッチーさの両立が求められます。
さらに、ビジュアル面でも表紙のデザインは重要です。企業ロゴの配置、配色のトーン、フォントの統一感など、全体のデザインに気を配ることで、資料全体への信頼感が増します。特に外部パートナーや新卒社員など初対面の受講者が多い場面では、表紙の印象が「企業文化や教育姿勢」を映し出す鏡のような役割を果たします。
また、オンライン研修では、画面共有時に表紙スライドが表示されたまま研修が開始されるケースも多いため、その見た目が受講者の心理に与える影響はさらに大きくなります。わかりやすさと視認性を両立させるデザインが求められるでしょう。
さらに表紙やタイトルは、「ブランディング」としての役割も見逃せません。研修ごとにトンマナ(トーン&マナー)が統一された表紙テンプレートを使用することで、企業全体の教育姿勢や専門性を感じさせることができます。これは受講者に対する「組織としてのメッセージ性」を強める手段にもなります。
このように、「表紙・タイトル」はただの表面的な要素ではなく、研修の質そのものを左右する設計ポイントであることを理解し、戦略的に作り込むべき箇所です。
2. 内容・目的
次に重要なのが、研修資料の「内容・目的」の明示です。これは「この研修で何を学ぶのか」「なぜこの内容が必要なのか」という問いに答えるパートであり、受講者の思考と行動を方向づける、いわば「ナビゲーション」の役割を果たします。
研修は受け身の姿勢ではなく、自発的に学び、理解し、行動に移すことが求められる場です。その出発点として、資料の冒頭に「この研修の目的は何か」「どのような力を身につけるのか」を明確に示すことで、受講者自身がその内容を自分ごと化しやすくなります。
具体的には、「本研修では、社内外の関係者との信頼関係を構築するために必要なビジネスマナーとコミュニケーションスキルを学びます」や、「顧客の課題を正しく把握し、最適な提案を組み立てる営業プロセスを体得することを目的としています」といった、簡潔かつ行動につながる表現が理想です。
また、受講後の到達目標や評価基準も明示しておくと、受講者のモチベーション向上につながります。たとえば、「受講後には自分の営業トークを3分間で構造的に説明できるようになる」など、成果が具体的にイメージできるゴールを提示することが重要です。
目的の記載位置は、表紙の次やアジェンダの前が一般的です。スライドであれば、シンプルな箇条書きにしてビジュアル的に整理するのが有効ですし、PDF資料であれば冒頭の文章形式で伝えるのも一つの方法です。
この「目的の明示」があるかどうかで、資料全体の説得力が変わります。単なる情報の羅列ではなく、「なぜ、何のためにこの情報が必要なのか」が語られている資料は、受講者の内発的な学びを引き出し、行動変容を促す強い力を持ちます。したがって、内容・目的は単なる前置きではなく、研修の方向性と価値を定める核であると捉え、丁寧に言語化することが求められます。
3. アジェンダ
研修資料における「アジェンダ」は、受講者に対して「これから何を、どの順番で学ぶのか」を明示するパートです。アジェンダは単なる目次ではありません。研修全体の設計意図や流れを、受講者が先読みしながら理解できるようにする「道しるべ」のような役割を果たします。特にBtoB領域の研修では、学習内容が複雑かつ多岐にわたることが多いため、アジェンダの精度が受講者の理解度や集中力に直結します。
まずアジェンダは、スライド冒頭に配置するのが一般的です。タイトルや研修目的の次に提示することで、受講者は全体の構成を把握し、「今自分がどこにいるか」「あとどれくらいで終わるか」といった心理的な見通しを持つことができます。これは集中力の維持だけでなく、不安感の軽減にもつながり、より能動的な参加を促す効果があります。
アジェンダに記載する内容としては、主な章立てと、それぞれの章で扱うトピックの要約が中心になります。たとえば「第1部:現状の課題整理」「第2部:解決策の選択肢」「第3部:成功事例の紹介」「第4部:ワークショップ」など、時間配分やセッションの形式も含めて記載すると、より具体的で親切な設計になります。
また、アジェンダには流れが重要です。単にトピックを並べるのではなく、「問題提起 → 解決方法の提示 → 実践事例 → 自分事として考える」といったように、受講者の思考プロセスに沿った構成がなされているかが問われます。この設計がしっかりしていれば、途中で話が脱線しても、受講者自身がどの位置にいるかを見失わずに済みます。
さらに、アジェンダには「安心感を与える役割」もあります。研修に慣れていない受講者、あるいは途中参加者にとっては、事前に全体像を把握できることが学習意欲の喚起につながります。また、オンライン研修の場合は途中離席が避けられないこともあるため、アジェンダがあることでキャッチアップが容易になります。
加えて、アジェンダを途中でマイルストーンとして再掲するのも効果的です。たとえば、各セクションの冒頭に「全体の中の位置づけ」を再表示することで、資料の流れに一貫性が生まれ、受講者の理解もより深まります。このようにアジェンダは一度表示して終わりではなく、資料全体に繰り返し登場させるナビゲーション装置として機能させるのが理想です。
4. 本題
「本題」は、研修資料の中心核であり、実際に知識・スキル・思考法などの内容が展開されるメインセクションです。このパートの出来が研修の価値を決定づけると言っても過言ではありません。本題の構成力、見せ方、語り方の質が、受講者の理解度・納得感・行動変容のすべてに直結します。
まず重要なのは、「本題は情報を並べる場ではなく、論理的に伝える場である」という意識です。単なる情報の羅列や用語解説では、受講者の頭に残りません。理想的なのは、「問題提起→背景説明→主張→具体例→まとめ」というストーリーフレームをスライドごとに内包することです。このような構造を意識して資料を展開することで、受講者は自ら考え、理解を深めながら内容を吸収できます。
また、メインのスライドは「1ページ1メッセージ」の原則に基づき、主張と根拠が明快に整理されていることが望ましいです。たとえば、「ヒアリング力の強化が営業成果を左右する」と主張したスライドには、その理由となる数値データや事例、現場の声などを裏付け情報として記載することで、納得感が生まれます。これは論理と感情の両面を刺激することで、より深い学習効果を得るための手法です。
さらに、「実務との接続」が図られているかも重要です。特にBtoB研修では、現場で起こる具体的な課題と内容がリンクしていなければ、受講者の記憶に残りません。図解や業務フロー、ペルソナ設定などを用いて、実際の業務イメージを補完する工夫が求められます。
加えて、本題セクション内には「問いかけ」や「小ワーク」など、受講者参加型のコンテンツを織り込むのが有効です。一方的な説明ではなく、受講者自身に考えさせる場面を設けることで、記憶定着率が飛躍的に高まることが多くの教育心理学的研究からもわかっています。
本題は「教える」だけではなく、「伝える」「響かせる」「実行につなげる」までを設計する領域です。だからこそ、ロジックと感情、情報とデザイン、講師と受講者の相互性、そのすべてを意識した作り込みが求められます。
5. 振り返りとまとめ
「振り返りとまとめ」は、研修資料における締めくくりとして、受講者の学びを言語化・定着化するための重要なパートです。このセクションがあるかどうかで、受講後の理解度・行動変容・再現性が大きく変わってきます。たとえ本題がどれだけ充実していても、振り返りがなければ学習効果は半減する恐れすらあるのです。
振り返りとは、受講者が「自分が何を学んだか」「どのような変化が起きたか」を客観的に見直すプロセスを意味します。資料内では、学んだ内容を再整理し、要点をまとめて提示する構成が効果的です。たとえば、「本研修の3つの学び」「今日のポイント総復習」といったスライドを用意し、複数回出てきたキーワードや主張を簡潔に列挙することで、記憶が定着しやすくなります。
また、「まとめ」は受講者にとってのお土産のような役割も果たします。これまでの内容をコンパクトにまとめたスライドがあれば、後日資料を見返す際のナビゲーションとなり、業務に落とし込む際にも活用しやすくなります。つまり、まとめはそのまま「明日から使える知識」としての転用可能性を持たせるための設計が必要です。
このセクションでは、「受講者の自発的な内省を引き出す設計」も重要です。たとえば、「本日の学びを3行でまとめてみましょう」「この知識を自部署でどう活かせそうですか?」などのワークを加えることで、学びの再構築と自分ごと化が促進されます。
振り返りとまとめは、学んで終わりではなく、「学びを実務に結びつけるための設計」そのものです。だからこそ、最後まで気を抜かず、受講者の記憶と行動に残るように丁寧に作り込むことが、研修資料の完成度を高める鍵となります。
6. アクションの促し
研修のゴールは、知識を「得ること」だけでなく、それを現場で「活かすこと」にあります。つまり、受講者が学んだ内容を業務に結びつけ、実際に行動へと移すことが、真の研修成果といえるでしょう。そこで重要になるのが、研修資料における「アクションの促し」です。
このパートでは、受講者が研修後に「何を」「いつまでに」「どのように」実行すべきかを具体的に提示し、行動変容を支援する役割を果たします。ただ学んで終わるのではなく、次の一歩を踏み出すための明確な指針を提供することで、研修の効果が組織全体に波及していきます。
まずアクションの促しに必要なのは、「具体性」です。たとえば、「営業スキルを向上させましょう」では漠然としすぎており、何をすればよいか受講者は判断できません。一方で、「今週中に3件の顧客アポイントにおいて、研修で学んだヒアリングスキームを実践してみましょう」のように、行動レベルにまで落とし込んだ指示であれば、受講者はすぐに行動に移しやすくなります。
また、アクション項目は、資料の最後にToDoリスト形式でまとめるのが有効です。たとえば「研修後1週間以内に◯◯を実践」「上司と成果報告ミーティングを実施」「振り返りシートに記入」など、実務と結びついた行動に落とし込むことで、学びが形式的なものにとどまらず、成果へとつながります。
さらに重要なのが、「動機付け」を同時に行うことです。行動を促すには、なぜそれをやるべきなのか、その意義やメリットも伝える必要があります。「提案トークの型を試すことで、顧客からの反応が変わる可能性があります」など、行動の先にある変化や価値を描くことで、受講者の行動意欲は高まります。
加えて、「チームでのアクション共有」を資料上で促す設計も有効です。たとえば「チームミーティングで学んだことを共有しましょう」「社内SNSで気づきを投稿してみましょう」といった仕掛けを設けることで、個人の学びがチーム全体の成長へと波及し、研修の効果が持続します。
また、アクションを促す際には、評価やフォローアップの仕組みと連動させることも重要です。「このアクションを実施した方には次回の研修で事例共有の機会があります」など、研修を点ではなく線で設計する意図を伝えることで、行動継続のモチベーションにつながります。
このセクションは、単なるまとめではなく、実行の起爆剤として設計すべきです。受講者が明日から何をするのかを具体的にイメージできる資料は、成果につながる研修資料としての価値を大きく高めることになります。
7. 質疑応答
研修資料の最後を締めくくる構成要素として「質疑応答」は非常に重要です。これは単に質問の時間を設けるという意味だけではなく、受講者の理解度を確認し、個別の疑問を解消し、学びを確かなものにするための設計パートです。受講者との対話を通じて、学びを深化させる貴重な機会でもあります。
まず、質疑応答のセクションは「場づくり」がカギとなります。受講者が気軽に質問できる空気感を事前に醸成しておくことが必要であり、そのためには研修の冒頭から「質問はいつでも歓迎です」「最後に質疑応答の時間をとります」と伝えておくのが効果的です。資料上にも、質疑応答専用のスライドを設けておくことで、受講者は「ここで質問していいんだ」という安心感を持つことができます。
また、スライドには「よくある質問例」や「質問のヒント」などを掲載するのも効果的です。たとえば、「現場での実践に関する不安」「他部署との連携のコツ」「ケーススタディに関する応用方法」など、受講者が抱きやすい疑問を予測して提示することで、質問しやすい雰囲気が生まれます。これにより無言の空白時間を防ぎ、活発な質疑応答を促すことができます。
さらに、オンライン研修においては、チャット欄やリアクション機能を活用した質疑応答の仕組みも重要です。資料に「ご質問はチャットにどうぞ」「ZoomのQ&A機能をご活用ください」といったガイドを明記しておくと、スムーズな進行につながります。
質疑応答の時間は、講師にとっても貴重なフィードバックの場となります。受講者の質問傾向から、研修内容の理解度や関心領域が明らかになり、次回以降の資料改善にも役立ちます。そのため、質問内容はメモに残す、録音・録画して振り返るなど、ナレッジ化の視点を持つことが望ましいです。
そのほかの工夫としては、「匿名質問ポスト」や「事前アンケートによる質問募集」を活用することで、口頭で質問しにくい参加者の声も拾うことができます。とくに心理的安全性が低い環境や大人数の研修では、このような仕掛けが質問の質と量を高めるきっかけになります。
最後に、質疑応答の時間を研修資料にしっかりと組み込むことで、「受講者と共に作る研修」という空気が生まれます。一方的な情報伝達にとどまらず、双方向性を取り入れた研修設計こそが、学びを深め、研修成果を最大化する鍵となるのです。
テーマ別|3つのサンプル構成例
研修資料の構成は、テーマごとに最適な流れや設計が異なります。目的や対象者が異なれば、伝えるべきメッセージや使うトーンも変わるため、「汎用的なひな形」ではなく、「テーマに即したカスタマイズ」が求められます。
ここでは、よく実施される3種類の研修に対して、効果的な資料構成のサンプルを紹介します。今回は、「新入社員向けマナー研修」「ハラスメント防止研修」「営業力強化研修」の3テーマを取り上げ、それぞれの狙いに合った資料設計の具体例を提示します。
1. 新入社員向けマナー研修
新入社員向けのマナー研修は、社会人としての第一歩を踏み出すにあたり、基本的な行動様式や価値観を学ぶ機会です。資料構成においては、「わかりやすさ」と「安心感」、そして「繰り返し学べる再現性」が特に重要です。
- 構成例
-
- 1. 表紙・タイトル(例:新入社員マナー研修 〜信頼される社会人になるために〜)
- 2. 研修の目的・ゴールの提示(社会人としての基本行動を理解し、好印象を与える立ち居振る舞いを習得)
- 3. アジェンダ(例:言葉遣い/身だしなみ/電話・メール対応/来客・訪問マナー)
- 4. マナーの必要性(社会人と学生の違い、第一印象の大切さなど)
- 5. 各マナーの解説(動画やロールプレイ例を交えながら)
- 6. ミニワーク(ケース別の「これはOK?NG?」を考える)
- 7. まとめと振り返り(チェックリスト形式での自己評価)
- 8. アクションの促し(明日から実践する3つのこと)
- 9. 質疑応答
新入社員は初めての集合研修で緊張しているケースが多いため、資料のトーンは丁寧で親しみやすいものが理想です。具体的な図解やイラストを多用し、理解を助ける視覚的工夫も欠かせません。
2. ハラスメント防止研修
ハラスメント研修は、組織としてのリスクマネジメントと職場環境の健全化を目的とした重要な研修です。資料構成には「客観性」「具体性」「中立性」が求められ、感情に依存せず事実に基づく情報提供が中心になります。
- 構成例
-
- 1. 表紙・タイトル(例:ハラスメント防止研修 〜誰もが安心して働ける職場づくりのために〜)
- 2. 研修の目的(加害者にも被害者にもならないために、正しい知識を習得)
- 3. アジェンダ(ハラスメントの定義/具体例/法的背景/防止策/相談窓口)
- 4. ハラスメントの基礎知識(パワハラ・セクハラ・マタハラなどの違い)
- 5. ケーススタディ(事例紹介と解説)
- 6. 境界線の認識ワーク(受け手の感じ方を考える)
- 7. 組織としての対応策と通報体制
- 8. 振り返りとチェックリスト
- 9. アクションの促し(「気づいたらすぐ相談」の風土づくり、言動の振り返り習慣)
- 10. 質疑応答
この研修では「自分は関係ない」と感じがちな受講者にも響くよう、「自分ごと化」させる資料設計が重要です。資料には、職種や世代によって異なる認識のズレを例示し、多様な視点に立つ思考を促す構成が求められます。
3. 営業力強化研修
営業力強化研修は、BtoB企業において最も成果と直結するテーマの一つです。資料構成においては、「課題解決志向」「実践重視」「スキル定着」がキーワードとなります。単なるノウハウの提供ではなく、行動につながる設計が求められるでしょう。
- 構成例
-
- 1. 表紙・タイトル(例:提案型営業力強化研修 〜顧客の期待を超える提案とは〜)
- 2. 研修目的(顧客課題に応じた提案型営業の思考とスキルを習得)
- 3. アジェンダ(営業プロセスの再定義/ヒアリング技術/提案書の作り方/クロージング)
- 4. なぜ営業に「型」が必要なのか(属人的な営業からの脱却)
- 5. ヒアリング技術の強化(質問設計と仮説の立て方)
- 6. 提案書の構成と資料例(良い・悪い提案書比較)
- 7. ワーク:自社商品をテーマにしたミニ提案演習
- 8. フィードバックと振り返り(個人レビュー+全体講評)
- 9. アクションプランの設定(自分の営業プロセスに組み込む3つの改善点)
- 10. 質疑応答
営業職は実践で成果が問われるため、資料設計も「行動変容につながるか」が最大の評価基準となります。実例・顧客視点・競合比較など、リアリティのある資料内容が必須です。
このように、研修テーマに応じて構成の工夫や重点ポイントは大きく異なります。資料を作る際には、「誰に・何を・どう届けるか」を明確にし、そのテーマにふさわしい流れとトーンで設計することが、成果につながる研修資料づくりの鍵となります。
研修資料4つの種類と活用シーン
研修の成果を高めるには、内容や構成と同様に「資料の形式」も重要な設計要素です。目的や対象者、実施方法(対面・オンライン・ハイブリッド)によって、最適な資料の種類は異なります。どの形式にも一長一短があるため、研修の特性に合わせた使い分けが求められます。
ここでは、研修資料の代表的な4種類について、それぞれの特徴と活用シーンを解説します。
1. スライド資料(PowerPoint・Googleスライド)
スライド資料は、研修において最も一般的に使用される形式であり、視覚的に情報を伝えることに特化した資料です。特にプレゼンテーション型の研修やセミナーにおいては、講師の話す内容と連動させながら理解を深めるための「ナビゲーションツール」としての役割を果たします。
スライド資料の強みは、情報の強調や可視化がしやすい点です。箇条書き、図解、チャート、写真、アイコンなどを使って、受講者の理解を助ける表現が自在にできます。また、アニメーションや切り替え効果を使うことで、話の展開にリズムを生み出し、飽きさせずに情報を届けることができます。
活用シーンとしては、対面形式・オンライン形式を問わず、多人数を対象とした座学型の研修が挙げられます。たとえば、新入社員研修、管理職向け研修、コンプライアンス教育、商品説明セミナーなど、多様なテーマに適用可能です。特にオンライン研修においては、講師の姿とスライドが並んで表示されることで、視線誘導の効果も期待できます。
ただし、注意すべき点もあります。スライドに情報を詰め込みすぎると、読みにくくなり、逆に理解の妨げになります。文字の大きさ、1ページあたりの情報量、配色バランスなど、デザイン性と視認性の両立が求められます。また、あくまで講師の話を補完するものであるため、「スライドだけ見ても内容がわからない」設計になっていないかも確認すべきです。
さらに、スライド資料は受講後の復習や社内共有にはやや不向きです。講師の補足や文脈がないと理解しにくいため、必要に応じて配布資料やスピーカーノートとの併用が推奨されます。総じてスライド資料は、「その場で伝える力」に優れた形式であり、インパクトある導入や、情報の全体像を示す場面に最適です。
2. 配布資料(PDF・印刷資料)
配布資料は、スライドと異なり「読み返し」や「持ち帰り」に適した研修資料形式です。紙で配布されることもあれば、PDFとしてメール添付や社内ポータルにアップロードされることも多く、受講者が研修後に内容を確認したり、実務に役立てたりするのに向いています。
特徴として、情報の密度と文章量が比較的多く、図表と文章を併用して体系的に解説できる点が挙げられます。たとえば、制度や法令、業務フロー、マニュアル、FAQなどの説明を含む研修では、スライドよりも配布資料のほうが詳細情報を網羅できます。
また、配布資料は「記録性」が高いため、社内研修の証跡としても活用されます。研修後に確認テストを実施したり、後任や新メンバーの自己学習用に再利用したりと、教育コンテンツとしての再展開にも適しています。
活用シーンとしては、eラーニング形式の研修、マニュアル研修、リスクマネジメント研修など、知識ベースの内容を扱う場面が代表的です。たとえば、「個人情報保護研修」や「セキュリティルール研修」などは、法的根拠や対応マニュアルが必要になるため、配布資料との相性が良いと言えるでしょう。
また、最近ではオンライン研修でも、事前配布資料としてPDFが利用されることが増えてきました。受講者が講義を受けながら資料にメモを取り、研修後に読み返すことで、学びの定着を助ける補完ツールとして機能します。
注意点としては、情報量が多い分、読む負担がかかる点や、資料そのものの構成・デザインに工夫が必要な点が挙げられます。単なるスライドの印刷版ではなく、「読み物」としての設計がされているかが重要です。また、配布資料は後から見る前提で作るため、読み手の理解レベルを想定し、補足説明や図解を入れることが必要です。ときには「読み進め方のガイド」を冒頭に添えるのも親切な工夫となります。
このように、配布資料はスライドとは異なる文脈で活用されるものであり、「残す」「深める」役割を担う重要な資料形式です。研修内容の記録性と応用性を高めたい場面では、積極的に導入すべき形式といえるでしょう。
3. 動画教材・録画コンテンツ
動画教材や録画コンテンツは、時間や場所に縛られずに学べる「オンデマンド型研修資料」として、近年急速にニーズが高まっています。特にオンライン学習が一般化した今、学習の自由度や受講者の理解度向上を目的として、多くの企業がこの形式を研修設計に取り入れています。
動画教材の最大のメリットは、視覚と聴覚の両方から情報を伝えられることです。たとえば、営業スキルや接遇マナー、プレゼンテーションなど「動き」や「声のトーン」が重要なスキルは、テキストやスライドだけでは伝えきれないニュアンスが多く含まれます。動画であれば、講師の表情、話し方、間の取り方、身体の動きなど、実践に近い形で伝えられるため、学習の再現性が高まります。
録画コンテンツは、ライブ研修を収録して後日配信する形や、専用に収録された教材型コンテンツの2種類があります。前者は研修の振り返り用として、後者は教材として初学者向けに設計されることが多く、それぞれ役割が異なります。録画はリアルタイムで参加できない社員にとっても平等な学習機会を提供する手段として有効です。
活用シーンとしては、新人教育の標準化研修、社内マニュアルの可視化、セキュリティルールや製品知識の理解など、「反復視聴」が効果的な分野に適しています。特に、支店・拠点が多い企業や、非正規社員を含む多様な雇用形態に対応する企業においては、一定の品質で均一に教育を届けられるツールとして重宝されます。
一方で、動画コンテンツには課題もあります。たとえば「ただ見て終わる」受動的学習に陥りやすい点です。そのため、視聴後に理解度テストやアクションシートを設ける、ワークと組み合わせて実践に活かすなど、学びを定着させる仕掛けが必要です。また、動画の長さや編集スタイルも大切で、長すぎる動画は集中力が続かないため、10〜15分程度でチャプターを区切ることが推奨されます。
このように、動画教材や録画コンテンツは、時間と場所を越えて学習機会を広げるだけでなく、行動変容と文化浸透を促す新しい研修資産として、多様な可能性を持った資料形式です。しっかりとした構成設計と受講後のフォロー体制を整えることで、継続的に活用される教育コンテンツに育てることができます。
4. ワークシート・演習シート
ワークシートや演習シートは、「受講者の参加型学習」を支援するための実践的な資料形式です。講義を聞くだけの一方向的なインプットに対し、ワークを通じて自ら考え、アウトプットし、対話や振り返りを経て定着を図るというアクティブラーニング型の研修に欠かせない要素です。
この資料の最大の目的は、「気づきの言語化」と「行動の具体化」です。たとえば、課題解決型のワークシートであれば、「自社の課題は何か」「原因は何か」「どのような打ち手があるか」などを段階的に書き出す構成になっています。これにより、漠然と学んでいた内容が、自身の業務とリンクしていく実感が得られます。
また、演習シートは、ロールプレイングやディスカッションを行う際の台本や評価表、フィードバック欄などを含むもので、個人ワークからグループワークまで幅広い形式に対応可能です。営業研修であれば「提案トークの設計ワーク」、マネジメント研修であれば「部下のタイプ別対応プラン記入欄」など、研修テーマに応じてカスタマイズされます。
活用シーンとしては、対面研修・オンライン研修の両方で使用されており、特に以下のような場面で効果を発揮します。
- ・ケーススタディ形式の問題に取り組む
- ・自己診断や現状把握のワークを行う
- ・フィードバックや振り返りを記入する
- ・明日から実践するアクションを整理する
オンライン研修においても、Googleフォームやオンラインホワイトボード(miro、Muralなど)と連動させることで、双方向性のある演習設計が可能です。PDF形式で配布して、講義中に書き込みながら進めるスタイルも一般化しています。
注意点としては、「書き方が難しい」「自由記述が曖昧になりがち」という課題があるため、ワークシートの設計には細やかな工夫が求められます。記入例や選択肢、ガイド文を設けることで、受講者が思考を進めやすくなり、学習体験の質が向上します。
このように、ワークシートや演習シートは、単なる記入用紙ではなく、思考を整理し、行動を設計し、対話と内省を促す「学びを深めるための設計図」です。講義型資料だけではカバーできない、研修の体験価値を高めるツールとして、積極的に取り入れることが推奨されます。
研修資料作成に必要な4つのチェックポイント
研修資料を作成する際には、内容の正確さや構成の論理性はもちろん、デザインの統一性や受講者目線でのわかりやすさも重要です。しかし、いざ作成となると「何から確認すればよいか分からない」「うっかり抜けがちなポイントがある」といった悩みも多いのではないでしょうか。
そこでここでは、研修資料の完成度を高めるために役立つ「チェックリスト」をご紹介します。効率よく質の高い資料を仕上げるために、ぜひこのチェックリストを活用してみてください。
1. 研修資料作成前の準備
研修資料を作成する前の準備段階は、最終的な資料の完成度を大きく左右する重要なプロセスです。資料そのものの中身やデザインも重要ですが、前提となる情報が不明瞭であれば、いかに魅力的な資料でも教育効果は半減します。そのため、まず着手すべきは「何のための研修か」「誰に向けた研修か」「どんな行動変容を期待しているか」を明確にすることです。
たとえば、新入社員向けであれば、用語や業界知識への配慮が必要になりますし、マネージャー層であれば課題意識を刺激するような設計が求められます。対象者の職種・年次・業務内容・受講モチベーションなどを把握し、「受講者の解像度」を高めることで、資料の的確性が増します。
また、資料作成者と登壇者が異なる場合は、事前のすり合わせが不可欠です。話す順番やトーン、使いたい言葉の好みなどをあらかじめ共有することで、資料と話し手に一貫性が生まれ、研修全体の説得力が高まります。さらに、準備段階では使用環境も確認しておくべきです。研修が対面かオンラインかによって資料の形式や見せ方が大きく異なるため、ツール環境、表示端末などを把握しておきましょう。
このように、研修資料作成の準備段階では、受講者理解、講師設計、環境把握、感情設計といった4つの軸で丁寧な下準備を行うことが、質の高い資料づくりの第一歩となります。
- 【チェックポイント】
- 受講者の職種・年次・目的に合っているか
- 講師と資料作成者の意図がすり合っているか
- 使用環境(対面/オンライン)が考慮されているか
- 受講者の心理状態に配慮した構成になっているか
2. 資料構成
研修資料の構成は、受講者の理解度や記憶の定着に直結する極めて重要な要素です。どれだけ情報が豊富で有益であっても、構成が破綻していれば受講者は迷い、理解が浅くなるどころか興味を失ってしまう恐れがあります。そこで資料構成の段階では「論理的な流れ」と「視覚的な流れ」の両方を意識することが求められます。
まず、基本の流れとしては「課題提示 → 解決方法 → 具体例 → 実践内容 → 振り返り」の順で構成することで、学習の納得感と再現性が高まります。特にBtoB領域では「なぜこれが必要なのか(背景)」を最初に丁寧に示すことが、現場での活用意欲に直結します。
次に重要なのが「章立てと切り口の整理」です。たとえば30分以内の研修であれば、3〜5つのチャプターに分けて、それぞれに小見出しやナビゲーションの工夫を入れることで、集中力の維持と情報の整理をサポートできます。また、構成内に「問い」を挿入することで、受講者が受け身にならず自発的に考えるきっかけを提供することも可能です。
資料構成では、スライド数やページ数のバランスも重要です。1スライドあたり1メッセージに絞る原則を守りながら、全体の情報量と時間配分に見合った構成になっているかをチェックします。
さらに、「資料の再利用性」も意識すべきです。後から読み返しても文脈が追えるように、「説明を省きすぎない」「口頭補足がなくても理解できる」構成にすることで、研修後の学び直しや社内共有にも適した資料になります。
このように、構成設計では流れ・分量・見出し・再利用性の4点を柱に、受講者視点で資料の全体像を設計することが、優れた研修資料づくりの鍵となります。
- 【チェックポイント】
- 1スライドに1メッセージしか載せていないか
- 章立てが明確で、理解の流れが整理されているか
- 想定時間に対して情報量が適切か
- 再利用時にも文脈が伝わる構成か
3. デザイン・視認性
研修資料において「デザイン・視認性」は、情報伝達の明確さや受講者の理解促進に直結する極めて重要な要素です。どれほど優れたコンテンツであっても、視覚的にわかりづらければ伝わりません。視認性を高めるためには、まずフォントサイズと行間の設計がポイントになります。たとえば、10ポイント以下の小さすぎる文字や詰まりすぎた文章は可読性を著しく下げます。一方で、適度な余白や十分な行間を確保することで、資料の読みやすさは大きく向上します。
また、色使いにも配慮が必要です。企業のコーポレートカラーを反映させることはブランド認知に役立ちますが、あくまで視認性を損なわない配色を意識しましょう。背景色と文字色のコントラストが不十分な場合、視覚的なストレスが生じ、集中力の低下にもつながります。特に研修受講者が高齢者を含む場合や、ディスプレイ環境が異なるケースではその影響が顕著です。
さらに、情報の優先度に応じた視覚的階層の設計も重要です。たとえば、見出しと本文でフォントサイズや太字の使い分けを行うことで、情報の流れを自然にナビゲートできます。また、アイコンや箇条書きのマーカーを使って情報をグルーピングすると、理解が早まるだけでなく記憶にも残りやすくなります。
総じて、「見やすい」「理解しやすい」「記憶に残る」資料デザインとは、受講者の視点に立ってストレスを最小限に抑えた構成であるべきです。単なるビジュアル装飾ではなく、理解のためのデザインという観点で、視認性の確保を徹底しましょう。
- 【チェックポイント】
- フォントや文字サイズが統一されているか
- 見出しと本文の視覚階層が明確か
- 色のコントラストが十分で、読みやすい配色か
- 使用環境(プロジェクター、PC、スマホ等)で視認性が確保されているか
4. 受講者視点の最終チェック
研修資料を完成させたあと、必ず行うべきステップが「受講者視点での最終チェック」です。これは単に誤字脱字や情報の正確性を確認するという作業にとどまりません。「この資料は、対象となる受講者にとって本当に理解しやすいか」「実際に行動に移すことができる内容になっているか」を多角的に検証する必要があります。
まず見直すべきは、資料の内容が受講者の前提知識や職種・経験値に適しているかという点です。たとえば、新入社員向けのマナー研修に専門用語や略語が多く含まれていては理解が追いつきません。対象者にとって「ちょうどいい難易度」であることが、学習効果を最大化するうえでの基本条件です。
また、研修の目的やゴールが明確に伝わっているかも確認しましょう。導入部分で学習目標が曖昧だったり、最後のまとめが抽象的すぎると、受講者は研修の意味づけを見失ってしまいます。目的からゴールまでの一貫性を持たせ、納得感のある流れが構築されているかをチェックすることが重要です。
加えて、資料の流れやボリューム感についても検討が必要です。1スライドあたりの情報量が多すぎる場合、集中力が持続しにくくなりますし、逆に少なすぎると研修全体のリズムが悪くなります。時間配分と連動させながら、受講者が無理なく理解・参加できるペースで構成されているかを最終確認しましょう。
さらに効果的なのが「第三者チェック」の導入です。講師本人や作成者だけでは見落としがちなポイントを、他のメンバーに客観的に見てもらうことで精度が上がります。可能であれば、実際に対象となる社員層に事前テストを行い、フィードバックを反映させるのが理想です。
最後に、自分自身が受講者の立場に立ち、資料を通読して「この資料は、自分にとって価値があるか」「行動を変えるきっかけになりそうか」といった実感を持てるかどうかを自問してみてください。その視点こそが、研修成果を最大化するための最終フィルターとなります。
- 【チェックポイント】
- 資料の難易度が受講者に適しているか
- 研修ゴールが明示されているか
- 内容の流れに一貫性があるか
- 他者によるフィードバックを取り入れているか
まとめ
研修資料は、単なる情報伝達ツールではなく、受講者の理解と行動変容を導く「教育設計の要」です。資料作成では、目的の明確化から構成・デザイン・チェックに至るまで一貫した意図が必要です。スライド・配布資料・動画・演習など種類ごとの特性を理解し、適材適所で使い分けることで、学習効果は飛躍的に高まります。
本記事で紹介したチェックポイントを活用し、受講者視点に立った資料づくりを徹底しましょう。丁寧に設計された研修資料こそが、組織全体の学びを加速させる土台になります。
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